涼宮ハルヒ弦奏から10年。大ヒットアニメやゲームでオーケストラコンサートイベントが開催されると本当に人気がある作品なんだなと思うこの頃。
近年で印象的に記憶に残っているのは、ガールズ&パンツァーのオーケストラや初音ミクシンフォニーでいずれもハイレゾ配信がされ盛り上がりを魅せましたが、とうとうビジュアルアーツにもこの日が来たようです。
2018年はビジュアルアーツのKeyブランドが20周年を迎えて初のオーケストラコンサート開催、そして12月にはCD発売!
これは一大事だと、パンフレットと一緒にCDをVA購買部+より注文しました。

20年ってヤバイですよ、先週は全国的に成人式でしたが、生まれた子供が成人するほどの時が刻まれています。この20年、ITの登場により時代が大きく変わりましたこうしていまでもKeyが新作を発表してグッズ展開をしているのを見るとなんとも……。

Key ORCHESTRA CONCERT 2018
〜祝!20周年。最大の感謝と感動をあなたへ〜

Keyといえば、泣きゲーですがそれを支えるとても重要な要素の一つが音楽だと思います。
Kanon、Airから名場面には名曲が付きものでした。そしてAirでは主題歌鳥の詩がアニメゲーム史に残る超有名曲として、ファンの間では神曲、国歌とまで言われるようになりました。
しかしながら、当時のPCゲーム環境などの制限があったためか音質が褒められたものではありません。
20年もの活動期間があり、夏影や青空なんかはもはやどれがオリジナルなのか分からないほどに、別アレンジや別CDへ収録されています。

Key ORCHESTRA CONCERT 2018

 

 

■パンフレットについて

A4サイズ横開きの、38ページ。表紙はちょっとざらざらしたコーティングの高級感のある厚紙。
CDジャケットやパンフレットの表紙には歴代ヒロインが楽器を持って並んでいますが、ちょっと絵柄が変わっていたりでも20年の歴史をそのまま絵にしたようでとても考え深いです。
観鈴ちんがやけにごついチェロを抱えていますが、きっと転生後、別世界での元気な観鈴ちんでしょう。
中身は、曲の解説と歴代ゲームの情報とCG、そして「馬場社長×折戸伸治×志村健一氏」による特別トーク、オーケストラに関わったビジュアルアーツのスタッフとアーティストの一覧など。
ブックと言うよりパンフレット、とりあえずCDを買ったら記念に一冊買っておこう程度の物かなと思います。ただ曲の解説は見開きを使って一作品ずつ綺麗なCGとレイアウトでそのページを開いただけで世界が再現されるようです。

key オーケストラコンサート

CDに付いてくるブックレットと多少の内容かぶりがありますが、CDのブックレットはかなり内容が端折られているので、ファンならパンフレット必須です。

Key オーケストラコンサート

■CD収録曲の内容について

Kanon、Air、CLANNAD、planetarian、リトルバスターズ、Rewrite、Angel Beats!
それぞれの作品から代表曲を馬場社長、麻枝、折戸の3名による選曲で、
CD1とCD2の冒頭にはサントラから3,4曲
CD2の後半では歌物のオーケストラアレンジがされた4曲が収録されています。
また実際のコンサートでのプラグラムとCDに入ってる曲は違うようで、
CDはライブ録音ではなくスタジオによる再収録がされています。
HPにも記載されていますが、CD版ではボーカルが収録されていません。
これは予算の都合なのかこういう演出なのか分かりませんが、CDはオーケストラでまとめられています。
一つ言いたいのはなぜホールでライブ録音しなかったのか…慣れていないとか予算の都合上とか色々とあるとは思いますが、20周年の記念コンサートを音源としてCDに収めることに非常に大きな意味があるような気がします。
声を大きくして言いたいのが、keyの20周年を一つのコンサートにまとめるにはすこし無理があるのではと、CLANNADだけでも相当量の曲が存在するわけで、出来ることなら、それぞれの作品の10年周年おきに単体でオーケストラをやるというのが理想かなと思ったり。ちょっと贅沢言いすぎかも知れませんが、それほどまでにkeyの曲というのは名曲、思い入れがある曲が沢山会ってどれもその作品を支える大切な曲なのだと思います。

■オーケストラのアレンジに思うこと

key初のオーケストラですが、非常に淡泊なオーケストラアレンジかなと思います。これまでニコニコや同人などで弾いてみたのCDや動画は沢山ありましたが一線を画するクオリティじゃないかと思います。
CDは2枚組ですがちょっと物足りなさを感じました。というのも、一曲一曲がとても短いのです。原曲をもっとアレンジしてさらにオーケストラっぽくすれば良いのにと思うほどに短いです。Disc1ではとんとん拍子で次の作品へと流れていきます。
keyという巨大コンテンツの原曲を弄りすぎてはファンが対立してしまいそうですが…好みが本当に別れるところかなと思います。個人的にはあまりに淡泊すぎて個人の弾いてみた動画が豪華になったくらいの印象です。
ただ、ガルデモメドレーやアルカテルといった歌物はkeyファン誰しも納得な出来じゃないかと思います。できれば歌入りで聴きたかったとは思います。
一言で言うならもっともっとkeyの曲に浸りたかった。

■key ORCHESTRA CONCERT 2018 CDの音質

※視聴環境
プレイヤー dCS Rossini Player 2.0
スピーカー Vivid Audio G3 GIYA S2
ソースはRossiniでCD再生。
フィルターはF3、アップコンバートはDSD

ピアノ:水月陵、梶田法子
指揮:志村健一
東京室内管弦楽団
東京混声合唱団
編曲:Rewrite 木村裕、Kanon 竹岡智行、CLANNAD/Angelbeats 鹿野草平、AIR 辻田絢菜、リトバス 直江加世子、プラネタリアン 堀田譽一

kanonの朝影からはじまる本CDは、歴代keyのCDの中ではもっともフラットに近い波形をしているような気がする。よく聴くとやや中域が薄くハイ上がりな傾向があるけれど、概ね変な偏りは感じない。またかなり低いところまで低域が伸びていてオーケストラらしさは十分に感じられる。マスタリングが自社スタジオではなくオーケストラを担当したアイムビレッジ主導で行われた影響と思われる。

録音したホール?スタジオ?がちらっとブックレットにだけ写っているのだけど室内楽程度の広さで残響はかなり控えめ。
奥行きを感じる空間表現と、空気感はアコースティックならではかなと。
かなり奥から合唱が伸びてきたりドラムスやキーボードにしっかりと距離感をつけつつ展開してきたりとオーディオ的にも楽しい内容だと思う。

ガルデモメドレーはダイナミックな荒々しさを生かしつつ楽器の質感をしっかりと残しているし、アルカテイルでは原曲よりもさらに美しいピアノの質感が印象的。バイオリンの絡みも滑らかで濁りのない清らかな響きが心地よい。

朝影、冬の花火などKanonのパートでは、朝影から冬の穏やかな日の出を感じさせる穏やかでありつつもすこしの緊張を感じさせるクラリネットやオーボエの響きが印象的。木々の声と日々のざわめきでは草原を駆け回るような元気の良いティンパニが軽快に演奏され、ドンッと強く広がりつつ全身で感じられる低域だ。残光や冬の花火ではホルンをはじめとする金管系のアンサンブルの調和が非常に美しく、音像が混濁しない程度のほどよいハモニーの厚みを感じさせる。

夏影や青空、鳥の詩、Airの流れはとても秀逸。スタジオらしいS/Nの高さを垣間見ながら、水平線を感じさせる広くのびのびとした音像が美しい。
ダイナミックレンジが広く撮られておりピアノからフォルテへの盛り上がりが非常にスムーズで心地よい。
原曲ではやや質感がのっぺりしていた鳥の歌も出だしのピアノから会場の歓声、響めきが聞こえてきそうなリアリティを感じる。
Liaのクリスタルボイスのような伸びやかなヴァイオリン、柔らかく暖かさを感じる翼のようなバックコーラスや繊細に奏でられる夏の水面のような鉄琴の音色にしばし心を奪われる。Airの世界がそのままスケールアップしたような様子がとても感動的で美しい。

CLANNADでは汐から始まり渚~坂の下の別れと完全に泣かせに来ているのだけど、CLANNADのパートだけ残響が多めでそれぞれの楽器パートに上下前後の空間表現が見られる。同じスタジオでの録音だとは思うけどここだけなにか違う。おそらくマスタリング時にリバーブか何かを強めに追加しているように思う。渚のピアノではすこしだけピリピリとした緊張を感じるし馬鹿ふたりでは若干の荒さが見られる。
渚ではおそらく後付けでの音が多いのかサウンドステージ全体が膨らみがちで、すこし一体感に欠ける部分がある。
しかし大方原作のサントラっぽさを強く感じるところでもあり難しい部分だ。

20年の詰め合わせキットのようなCDだ。
小さく落ち着いても楽しめるし、ガルデモなんかは爆音で。
色とりどりの作品の断片を寄せ集めたスクラップブックのような思い出深さを感じた。

■key ORCHESTRA CONCERT 2018 CDの総評

key史上もっとも感動的なCDでありながら最も音質が良好なCDだと感じた。
最近では、軽視されがちな音質ではあるがやはり名曲や名演奏は音質が伴うとさらなる感動を生むと思う。アクアプラスまでのこだわりはないにしてもビジュアルアーツの最大限のおもてなし感じた。
オーケストラCDとしてはやや値段が高めに設定されているがkey20周年のご祝儀と思うと安い買い物だ。
とにかくライブ録音でないことが最高にもったいないのだけど、スタジオ録音は作品の世界そのものが表現できている気がしてこれはこれでまあいいのかなと。

なによりやっぱりkeyの音楽は素晴らしい!麻枝准のガルデモの完成度だったりKanonもAirもCLANNADもそれぞれの世界の美しさだったり懐かしさだったりをぎゅっと感じた。
これからもkey作品が生み出す音楽に期待したい。

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