今年で9回目、実際に参加したのは6回目のForMusic主催の新潟オーディオショウ。この季節の風物詩になりつつも、4月このタイミングは結構行くのが辛いイベントでもある。
今年は家の設計や葬儀なんかが重なって、いけそうになかったものの無理を押してとりあえず写真だけでも撮ろうという雰囲気で朱鷺メッセまで這うように行った。
1週間でざっくり決めたCDといつもの録音セット、それと一眼レフ。今年はそこにGoProを追加した。あらかじめ行っておくと、あの状況でカメラ3台の運用は無理があったとしか言いようがない。
今年の冬は忙しい上に体調が悪く足の筋力が落ちているよといつもの整体師さんに言われたり、1週間前から腹を壊していたりと、コンディションは最悪だった。
たかだか市内の施設にオーディオを聴きに行くだけのはずなのだかこれがなかなかに困難なのである。
前日の金曜日には当たり前に腹が下っていたし翌日1日目の土曜日にもまだ回復していなかった。木の芽時というのは体調を整えるのが至極難しいのだ。
朱鷺メッセのエントランスまで車で送って貰って今年の新潟オーディオショウがスタートした。2時に現地へ行くはずが薬が効くのを待っていたら3時を過ぎていた。
お目当ての傳先生の講演を途中から聴く。LUXMANのシステムにあのフォーカルの怪物のようなスピーカーでまさにオーディオショウという名に相応しい音がずばずば飛んでくる。
去年の三浦先生の講演とはまた違う傳先生の選曲が興味深いのだけど、話はどうも60代オーバー向けという印象で、オーディオ界の高齢化を強く感じた。
実の孫の例を挙げつつ、Youtubeで音楽を聴く若い世代の解説をしながら、次世代アーティストの音楽はCDが出ないのだと驚いたように言う。一体どうやってそのYoutuberの存在を知ったのかちょっと伺ってみたかった。
30分ほど講演を聴いて自由演奏時間になっている他の部屋を写真を撮りながらまわる。社長にすこし挨拶をして、ちょうどESOTERICのブースが空いていたので新しいGrandiosoとタンノイで一曲アニソンをかけて貰う。
様子伺いという感じで、軽くCDをかける。
フルGrandiosoのセットにノードストのVALHALLAで繋がれたウェスタンミニスター。エソの音というよりタンノイの音が強く感じられたが、どうも今年体調が悪すぎたのか音量をかなり絞って聴いてしまった。せっかくの朱鷺メッセだしばばーんと晴れやかに聴きたかったけれど、今年はなんせ人が多いしまだ担当のIさんにご挨拶していない。
例年なら受付当たりにいるIさんに始めに会って会場をざっくり案内してもらいながらCDをかけていた。それが、今年は評論家先生を2人迎えるにあたってF社のスタッフが空いていなかった。加えて上越新幹線が停電により1時間以上も遅延して山本先生の講演がおしていた。
去年は手前のA~D部屋しか見ることが出来ず写真も撮ることなく終わってしまってなんだかすこし心残りだった。それが今年は一部屋増えて7部屋でブースも機材の量も増えていた。とにかく写真だけは全ブース取りたいなと思って、重い身体をなんとか引きずりながら片っ端から写真を撮っていた。
奥の部屋は小会議室が使われていて来場者とオーディオの距離が近い。そんな中急ぎで写真を撮りまわっていたら、とあるメーカーの人がこちらへ近づいてくる。雑誌社かなにかと勘違いしたのか分からないけれどなにかこちらに物言いたげだ。
話を聞くと、自由演奏時間で聴いている人がいるのにいきなり写真を撮るのは失礼ではないかと言ってくる。一体何を言われているのか分からないままとりあえず自分は例年通り写真を撮っていただけだし、スピーカーの前を邪魔しないように配慮しながら写真撮影をしていた。5Dを使っていただけに物理的なシャッター音とピントを合わせた時の電子音を出していたが一部屋でシャッターを切ったのは10回だ。
これが気に触れたのか、執拗にこちらへ何か言ってくる。あまり理不尽なことをしつこく言うのだから、受付へ一緒に行って会場の責任者である関本社長を挟んで話をする。社長も困ったようだけど、そこは冷静にかつ公正に両者の言い分を聞きつつどちらの面目も潰さぬように配慮をしてくれる。
結局どちらが悪いとも言うわけでもなく、次回から写真撮影に関してルールをついかするとの事で決着したのだけど、どうにもこの体調が優れない中やっとやっと写真を撮っていただけにダメージは大きい。
これまで5回オーディオショウに行って、その都度持参したCDをかけてしかも録音録画をしながらの試聴をしてきたけれど、これが安全に行えた理由がいくつかある。
新潟オーディショウという小さなイベントで主催で、ForMusicの顧客という立場があって、オーディオを試聴させて頂くという、ある意味店側のサービスであったり
オーディオショウという自由な場所での節度ある行動なのだけど、そこにはいつも担当のIさんが付添にいた。
というのも今年IさんはGルームの山本先生の付き人をしており来場からずっと顔も見ていなかった。毎年、かけるCDはIさんを通して代理店だったりメーカーの人に渡っていることが多く、写真も同時にIさんを同伴しながら撮っていた。
なにより、今年参加メーカーの数が増えており知らない営業さんたちも多数いてさらにF社の顧客以外の来場者が非常に多くアウエー感が強く感じられた。
なにより、家族連れや若い人、女性などオーディオ界ではあまり見られない客層が確実に増えており、これは事前に打っていた新聞への広告やこれまで積み重ねてきたショウの実績が現れているところだと思う。
加えて、自由演奏時間は今までよりずっと自由な曲がかかっていた印象でピュアオーディオのにあった難さがすこしは軽減されていたような感じがした。
新潟オーディオショウと検索すると大量の過去動画が出てくる。ブログやYoutubeで新潟オーディショウをレポートしている人は数えるほどにもなく、そのほとんどの情報が企業か自分のブログか動画だ。検索結果は自分が撮ってきたアニソンオーディオだったり試聴会の様子だったりで、なんだかとても申し訳ないようなちょっと恥ずかしいような気もするけれど、きっと多少なりとも何らかのメッセージは伝えられたように思う。
新潟オーディオショウは毎年進化している。
社長曰く、毎回試行錯誤の連続だという。去年の反省を踏まえながら新しくまたさらに来場を増やすようなギミックを沢山用意している。
開催が2日になったり、部屋が増えたり、評論家先生を呼んだり…実際に毎年その来場者数は増えているし規模も着々と大きくなっている。
その反面、自分がこのオーディオショウでやりたいことがやりづらくなっていると感じるし、自分自身もうやらなくても良いかなと思うようになってきた。
今のオーディオシステムにほぼ満足しているし、GW前の体調は毎年だだ崩れするし、オーディオショウへ行った楽しさや収穫、満足感よりも近年は辛さだったりが上回っている。
今年は行く前から大分辛いことは誰が見ても感じるところではあったけど、心身共に疲れたとしか言いようがない。
たかだか一つ地方のオーディオショウに何がそんなにあるのかと思うのだけど、
ForMusicがほぼ善意で会場を用意してくれること、普段会わないオーディオマニアが一堂に集まり、メーカーや代理店の中の人に挨拶が出来ること
店頭でも聴けない大型システムや、大部屋での試聴などやはりイベントでしか体験できないことは多い。
何にしても東京へいくのすら厳しい自分にしてみれば市内でこれだけのイベントが開催されることは年に一度しかないチャンスなのだ。
そもそも、ここ10年ほど具合が悪くて娯楽で外出しているのが新潟オーディオショウくらいだ。
オーディオショウを楽しむ。それだけのことだけど、体調の悪い中やはり普段会わない人や普段やらないことをやらないといけないのは結構な負担でなんだかんだでお家で普段通り過ごしているのが一番楽と言ってしまえば楽だ。
人生やって後悔するかやらずに後悔するか、じっと座って一生を終えるのか転んででも前へ進む人生なのかは究極的な話になる。
出来ることなら何もなく穏やかに過ごしたいのが本音だけれど、やはり出来ることならなにか面白いことに出会いたいと思う。
転んでも泣かない。でもちょっと休憩は欲しい。
つづく