2016年の2月にIsoTek AQUARIUSを導入して以来ずっと気になっていたことがありました。
電源ノイズフィルター Iso Tek EV03AQUARIUS を試す
現在ナスペックでは、IsoTek製品が大きく分けて二つのレンジで販売されています。
一つがAQUARIUSとSIGMAS、TAITAN
もう一つがEVO3 GENESIS、EVO3 SUPER TITAN
下の方は化け物みたいな製品で縁の無い人のほうが圧倒的だと思います。
となると現実的なのはAQUARIUSとSIGMASですが、この二つ非常に良く似ているのです。
ナスペックの解説を見ると、フィルター段が増えているとか内部基板のメッキが金メッキになっているとかありますが、外見からはディスプレイの有無くらいにしか違いが分かりません。
お値段を見るとAQUARIUSが27万円、SIGMASが48万円と結構なお値段の差があります。
電源タップとしてみると非常に高価な部類に入りますが、SIGMASは結構えぐい価格設定に思います。
現地価格との差が激しいとも言われますが、個人的には現地価格でもまだ高いと感じさせられます。
価格設定を上げすぎたせいで売れにくくなってしまったせいか、オーディオユニオンでは、月1程度の頻度で新古品(?)が売り出され新品が中古価格に近い価格で手に入るようになっています。
F社に問い合わせると、オーディオユニオンのそれと同じ価格で新品が卸せるとのことだったので、物は試しととりあえず買ってみました。(!)
丁寧に段ボールはナスペックさんの方で二重に |
AQUARIUSは展示処分品を買ったので新品を開けるのは久しい。 |
アイソッテクだぜ~って感じの不織布に入ってます。 ついでにAQUARIUSと袋の仕様が変わっていました。 |
ついに来たSIGMAS。液晶の鏡面プレートがまばゆい。 |
嫌がらせとしか思えない20A仕様のインレット。 ここを一度15Aに改造依頼したがあっさり断られた。 |
AQUARIUSを取り出す。Isotekの箱はカドがやけに鋭利なので慎重に |
オーディオショップでよく見る光景だ。 初見では区別が付かなかったしどちらが上位機種かも分からないレベルの違い。 |
Isotekの残念ポイントの一つ、ちゃっち足を取り外して貰った。 本当にちゃっちい。 |
ネジのすぐ横にあるのが純正の足が付いていたネジ穴 その右上にはなぜだか別途ネジ穴が開けてある。 |
ネジ穴を確認するとどうやら1/4インチネジが入る穴っぽい。 あとで三脚ネジをねじ込んだら入ったので間違いないと思う。 |
Isotekの底板にはマニア向けにオーディオ用のインシュレーターを固定するネジ穴が二つついているので、これで心置きなく純正の足を外して好きなスパイクなりインシュレーターを取り付けられると思う。
むしろ、そうしてくれといっているようである。
とりあえずは、BDRの「PYRAMID CONES Mk4 (税抜12,800円)」をインシュレータとして使った。
4個セットを買ったけれど、4点支持では安定しなかったので手前二点の三点支持にした。
AQUARIUSよりなぜか鋭利なフロントのパネルに注意しながらラックに設置する。 |
よくみると、AQUARIUSとSIGMASのフロントパネルは少し違っていて
SIGMASの方が少し研磨されているようでテカテカしている。
加えて刃物かと思うほどエッジが鋭利になっている。
AQUARIUSとの最大の相違点である表示パネルであるけれど
ボタンが3つ付いていて、左側がV表示上記の写真では102V来ているのがリアルタイムでわかる。
SIGMASを使う楽しみがこのV表示である。
オーディオを真剣に聴く前に気軽に何V来ているのかチェックできる。
右側のスイッチを押すと電源の歪み率が表示される。
こちらは2.23%となっているけれど、時間や同時に使っている家電などで激しく変動する。
Vの方はうちではほとんど変動せずたまに100か101になる程度でほぼ102Vで安定してる。
あまり面白みがないので歪み率にしているとこれが結構変動していることが分かった。
静まりかえった深夜や朝方は1.8%、日中では最大で3.3%ほどに上昇していた。
それぞれ音にどれほど影響があるかも自由研究できそうだ。
3つあるスイッチの中央のスイッチは消灯ボタンだ。
というのもこのLEDパネルが点滅こそしないものの結構まぶしい。たかだか電源ノイズフィルターなのだが主張はかなり激しくまぶしい。
セッティング中もIさんはまぶしい!と何度もつぶやいていた。
これを観察するためのSIGMASだというのになんと言うことを言うのだ。
冗談はさておき、せっかくAQUARIUSからSIGMASへ買い換えたのだから音質比較を行いたい。
ここまで120行ほど記事を引き延ばしていいるのだけど、結論から言ってしまうと差はあまり感じなかった。
値段は倍とは言わないもののSIGMASとAQUARIUSとの価格差はかなりある。
それが差が微妙…というのもあまり納得できない。
頑張って食い入るように音を聴いて言葉をひねり出すと、
SNが少し上がって音像の輪郭がよりシャープになったようでIsotekの基本性能をそのまま上げたような仕上がりに感じた。
Isotekの肝はやはり制震とかケーブルの質とかよりもとにかくノイズ除去の一点にあると思う。
一般家庭でのノイズ除去はAQUARIUSの能力で十分足りているのかも知れない。
それを裏付けるように、MAINES NOISE ANALYZERで調べてみると
SIGMASもAQUARIUSもどちらでもノイズの数値は0を示すしスピーカーからのノイズもさほど変わらない。
AQUARIUSの低容量端子でもうノイズの値は0を示している。 |
話がすこし矛盾してしまうが、専用ルームのような完全な防音がなされた部屋なら十分に違いが出てくるし圧倒的にSIGMASを勧められると思う。
逆に通常の部屋であるなら、AQUARIUSでケーブルをオプションでEVO3 OPTIMUMにするのが良いと思う。
なんと言ってもISOTEKはノイズフィルタリング機能に特化しており、筐体やコンセント部、足などが非常にもったいない出来栄えで、すこしバランスが悪く感じられる。
SIGMASからAQUARIUSにランクを落としてアクセサリーで強化するとバランスが取れると思う。
それからうちではラックを部屋の隅に置いてパワーアンプを中央に置いてある。
つまるところ、Isotekから取っている電源はプレイヤーとプリアンプそしてMacと電源消費量が少ない。
もしかすると、電源タップをフルで使うようなオーディオ構成ならまた違いが出てくるのかも知れない。
パワーアンプのトライゴンDWARFでは、
なにも挿していな電源タップ「304」 |
パワーアンプを片側だけ入れた状態「372」 |
パワーアンプの電源を両方とも入れた状態「513」 |
オーディオの中ではもっとも電力を消費するパワーアンプの電源汚染は結構大きい。
これはパワーアンプ専用電源コンディショナーTITANの導入が急がれるかも知れない。
パワーアンプの電源を取っているタップのノイズ値は思ったよりも高く、上流ではきれいな電源が供給されるもパワーアンプで一気に汚染されるような印象だ。
せっかくSIGMASを導入するならTITANの導入はセットで考えた方が良さそうだ。
この実験を見て分かるとおり、モノラルパワーアンプはノイズを出し合っている。
SIGMASのついでにアナライザーを貸して貰ったのでしばらく実験をしていた。
※ここからおまけパートです。
※この記事の内容は同時にYoutubeでもレポートする予定です。
☆動画完成しました。記事と併せてご覧ください。
なにも対策を施していない壁コンセントの値は「640」 |
同じコンセントでLED照明を落とすと数値がそれなりに下がる。 6WのLED球を10個消したところだ。 |
コンセントには様々なノイズが流れているが、これは電子レンジや他の部屋のノイズと思わしき家電のスイッチを切ったりコンセントを抜いても同様の効果が出る。
電気使用量が下がる深夜帯にオーディオを聴くと音が良くなるのも納得だ。
上記2枚の写真では、このオーディオルームのノイズの半数はLEDの照明から出ていたことが判明した。
オムロンの適当なUPSでもノイズは低下している。また4口ある挿し口それぞでかなり数値は異なる。 |
一番下のコンセントから給電するとノイズが上がった。 |
さらにノイズフィルター付きの電源タップとして人気のSS6Bを調べてみた。
SS6Bは内部配線があまりに雑なことで有名であるけれど、その効果は…
あのSS6Bでもノイズフィルター効果はしっかりと現れる。 |
600台の数値から40台までノイズの値が減った。
たった5千円のノイズフィルター付きタップでも十分にノイズ除去の効果があることが分かった。
上記の状態で照明を落とすとやはり効果が出る。 |
40あった数値は、部屋のLED照明を消すことで今度は20まで下がった。
共有している別口のコンセントのノイズも低下している |
ノイズ除去系の電源グッズは電源を共有しているコンセントにも影響を与えるのだけど
2口のコンセントにそれぞれSS6BとNOISEANALYZERを挿してみた。
600台から180台まで数値が急激に下がった。
周囲のノイズもしっかりと除去しているのが分かる。
これの結果から、コンセントに挿すタイプのノイズフィルターはどんなものでも一定の効果が望める感じだと推測できる。
手元にそういうアイテムがないのが残念だが、持っている人がいたら是非自宅で実験して欲しいと思う。
Isotekでは見事にNOISEANALYZERの数値が0になったのだが、
Isotekを使わずにどこまで数値が下げられるか手持ちのアイテムを駆使して実験を重ねた。
NOISEANALYZERを借りて、コンセントを抜き差し電源をONOFFする毎日がはじまった。
今度は空気清浄機をSS6Bに繋げて見た。 |
電源タップのノイズ除去力は分かったのだけど、実際いろいろな家電を繋げるとどうなるのか、試してみた。
Daikinの空気清浄機を繋げてみると数値は大きく上がった。
オーディオの常識にあるとおり、オーディオ機器も家電も無駄なコンセントは全てタップから外すのがノイズ低下に重要であることが分かる。
実験を繰り返していくうちに、やはりモーター系とLED系の電源汚染が著しいことが分かった。
SS6Bドライヤーを繋ぐといままでにない数値をたたき出したし電子レンジでも同じような値が出た。
しかしそれは電源を入れた場合であり、電源を切るとなぜか数値は逆に下がるパターンがある。
その一つがPASSのパワーアンプである。
夏季休暇中のPASSのX260.5を接続した。 |
PASSのアンプをSS6Bに繋げて見るとどうだろう、
SS6Bのフィルターによって40まで下がった数値がさらに5まで下がってしまった。
オーディオ機器や家電には繋ぐだけで逆に数値を下げてしまう機材が存在しているようだ。
これはIさんに伺うとエソテリックのGrandiosoシリーズでも同じことが起きるという。
場合によってはPASSを電源に繋いでも数値が変わらないことがあったが、
スピーカーからのノイズが大きく減っていたので間違いなくノイズ吸収してるようである。
やはりTITAN要らないのではないだろうか。
念のために、PASSではなくケーブルの影響を検証するためにNORDOSTのblueheavenだけ挿したパターンとESOTERICの7NPC5500を挿した場合を比較したが、ノードストのケーブルがアンテナになってしまうことも無くどちらの場合も数値は変わらなかった。
ちょっと明るいのはカメラ用のLED照明(電池駆動) |
Isotekを使わずともNOISEANALYZERの値を限りなく0にスピーカーからのノイズを消せるのでは無いかと、深夜1時に家中の照明を落としてみた。
スリープになったMacと冷蔵庫とこのタップだけが動いている状態だ。
「003」まで低下した。スピーカーからのノイズもとても静かだ。
SS6Bのステマみたいなってしまったけれど、フルテックの電源タップにもSS6Bとは違った特製があることが分かった。
フルテックの場合、コンセントにドライヤーや照明などのノイズの多い機材を繋いだ場合に、となりのコンセントへの影響が限りなく少なくて済むようなのである。
これはノイズが多くなる場合でも少なくなる場合でも同様に影響が少なかった。つまりフルテックのタップにプラグを挿すだけのアクセサリーは効きづらいと言えるかも知れない。
【なつやすみのけんきゅう結果をまとめようと思う。】
Isotekを使わずとも電源使用量を減らしたり、コンセントの組み合わせを変えることによってノイズが大きく減らせることが分かった。
以前から言われているように部屋の照明やテレビを切ってアロマキャンドルを点けたり
使っていない余計なオーディオ機器のコンセントを抜くことは非常に重要であると言える。
口数が多い電源タップはいろいろと機材を繋いでしまうがそれによってノイズは激しく上下している。
また、日や時間帯によっても数値は違うし、差し込む組み合わせによってもノイズの量は異なり電源環境というのは非常にデリケートであることが分かった。
今回の【れぽーと】では、電源ノイズにだけに絞った話である。
制震による影響や線材の構成やメッキによる違いなどもまた電源の奥深さを物語るようである。
いろいろと、簡単に済ませたいならやはりIsotekの導入をお勧めしたい。
オーディオの電源にそこまでお金をかけたくないならサンワサプライやSS6Bのなどのフィルター付き電源タップが非常に有効であることも同時に主張しておきたい。
今回検証に使用した、MAINESNOISEANALYZERはF社より借りたものですが、
気になった方は、お近くのオーディオショップよりナスペックさんへお問い合わせください。
一台10万円で販売もしているようです。(高っ!)
おわり。
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