2019年に引っ越してから4度目の春を迎えました。私は最近、音楽をどのように聴くかよりも、オーディオ趣味は本当に私たちの人生を豊かにしてくれるものなのかと考えることが多くなりました。多くのオーディオマニアは、単純に素晴らしい音質で音楽を楽しみたいと考えていると思いますが、私はその趣味が本当に人生を豊かにしてくれるのか少しの疑問を感じるときがあります。例えオーディオが好きなマニアであっても、最高の音質が必ずしも人生にとって必要なのかとあれこれ考えるのです。その一環として、今回はリビングオーディオについて考察してみたいと思います。

※この記事は5500字程度あります。

夫婦・カップルのためのアサーション: 自分もパートナーも大切にする自己表現

まず大前提として、1から創る注文住宅でシアター環境もあるオーディオシステムをリビングにインストールすることを考えます。シアター環境なのでリビングには最低6本のスピーカー置かれます。さらに自由に映画や音楽を楽しむために防音が施されます。広いリビングで、食事を楽しみながら家族との会話を楽しみながら、好きな音楽を自在に楽しめるなんて夢のようです。しかし、実際問題、リビングオーディオは沢山の矛盾をはらんでいます。リビングという空間は家電が沢山置かれたり採光を多めに入れるために窓が大きく多くなったりとオーディオ的に不利な要素が沢山ります。毎日頻繁に出入りするリビングの扉を防音扉にするのは現実的ではりません。防音扉一枚入れるだけでも日常にかなりのストレスが加わります。また、リビングという性質上、家族という名の他人が集まる場所、故に自由な音楽や映画の視聴は思っている以上に制限がかかります。
私も、以前の家はリビングを完全に占拠してオーディオやアニメを楽しんでいましたが、これは相当に家族に負担になります。多くの人は、一家の大黒柱であっても、オーディオ装置が子供部屋だったり余っている倉庫部屋の片隅に追いやられることが多いようです。また、夫婦でクラシックが好きでオーディオに理解がありリビングにオーディオシステムが置けたとしても、微妙な音楽やオーディオの価値観の違で、夫の好きな曲が妻に受け入れられなかったり、音量がデカすぎて一緒にいることが苦痛になったり、オーディオを巡って家族間で戦争になることは避けては通れません。なによりも夫婦や親子といえど人間なので体調が悪かったり特定のジャンルの音楽を聴く気分でなかったりと一緒に音楽を楽しむと言うだけでも壁は多いです。人が集まるリビングである以上は、自由なオーディオ趣味はなかなかに難しいです。
リビングオーディオでせっかくハイエンドオーディオを揃えても出てくるのは家族との不協和音なんてことは日常茶飯事だと思います。
まず、大前提として、注文住宅を建て、シアター環境もあるオーディオシステムをリビングにインストールすることを考えます。シアター環境なら、リビングには最低6本のスピーカーが置かれるでしょう。自由に映画や音楽を楽しむために防音施工が行われます。新築の広いリビングで、食事を楽しみながら家族と会話し、好きな音楽を自由に楽しむことができるなんて夢のようです。しかし、実際のところ、リビングオーディオは多くの矛盾を抱えています。リビングという空間は、冷蔵庫などの家電が多く置かれたり、採光が多かったりと、オーディオ的には、防音だったり静けさだったりに不利な要素が多数あります。また、リビングという性質上、家族が集まる場所であるため、音楽や映画の視聴には制限がかかることが多いです。
私自身も以前の家では、リビングを完全に占領してオーディオやアニメを楽しんでいましたが、少なからず家族に負担をかけていました。多くの人はオーディオをやっていると、一家の大黒柱であっても、子供部屋だったり、余っている部屋の片隅に追いやられることが多いと思います。また、夫婦でクラシックが好きで、オーディオに理解があったとしても、微妙な音楽の価値観の違いで、夫の好きな曲が妻に受け入れられなかったり、音量がデカすぎて一緒にいることが苦痛になったり、オーディオを巡って家族間で争いが生じることは避けられません。さらに、家族同士で集まる場所であるリビングである以上、誰かが音楽を聴く気分でない場合もあります。リビングで自由なオーディオ趣味を楽しむことはなかなか難しいのです。

建築の観点から見ても、例え、専用のリスニングルームを一から作ったとしても、音響的に失敗するケースは多々あります。防音性能が思ったようにでなかったり、フラットな周波数特性が得られずに日本海溝が生じたり、思ったような響きが得られなかったりと、スピーカーを鳴らすためだけに部屋を作ったとしても、落とし穴はいくらでもあります。それがリビングオーディオであった場合、さらに難しくなるでしょう。リビングという性質上、採光を多く取り入れたいとか、キッチンの換気扇は必要不可欠であるし、防音の面だけでも困難が多くあります。また、日常の時間を過ごす場所であるリビングに、音響設備のための吸音機構などを設置することは、居心地の面で大きな障壁となります。普通のリビングでオーディオを楽しんでいる多くの人は、QRDやアンクなどのルームチューニング材を使用することを諦めるケースは多いように思います。
つまり、リビングオーディオで完璧な音を目指せば目指すほど、リビングとしての機能を失い、失敗しやすい音響設計でもうまくいかないことの方が多いと考えられます。

それではまず、リビングとは何かについて考えてみましょう。リビングとは、「居間」とも呼ばれ、家族が集まって団らんを楽しむ場所であり、食事や会話、テレビなどを楽しむ共有スペースです。しかしながら、そんなリビングに、ガチガチのホームシアターやオーディオシステムを入れることは、家族の調和を破壊しかねません。
例えば、Youtuberのカズさんは、自らのリビングでシンプルなシアター環境を創っている動画の中で、「リビングでのオーディオやシアターがガチすぎると家庭環境が壊れることがある」と語っていました。カズさんは、福井のプロジェクタースクリーンメーカー「シアターハウス」のCEOであり、自身も初期のYoutube動画を見ると一人暮らしの小屋にそこそこのシアター環境を備えていました。しかし、あの豪邸ともいえる巨大な家を建てた際には、自らの編集撮影部屋とする防音室こそあるものの、オーディオやシアターを楽しむ設備は一切見当たりませんでした。
これには、私たちにとって新たな示唆があるように思います。一般的に、オーディオマニアであるのなら、家を建てたら小さいながらもオーディオルームだったりリビングシアターを入れるのが当たり前ですが、カズさんは自宅の設計にホームシアターを入れませんでした。そこにはカズさんなりの理由があると考えられます。私的には、それが”父親になる”ということなのかと考えたりしました。

心理的にも物理的にも人間関係的にも、リビングで完璧なシアターやオーディオ環境を整えることは非常に難しいと感じます。そうであるなら、カズさんのように、はじめからオーディオを一切やらないと割り切るか、または、やるとしても非常にライトにやるくらいがちょうど良いのではないかと感じました。
それでも、しっかりとオーディオやシアターを楽しみたいという人は一定数はいることでしょう。そんなときに、この難しいリビングオーディオの課題はクリアできるのが考えました。その結果、まず、最優先事項としてオーディオより前に居心地、機能性、生活動線、見た目とインテリア、そしてリビングとしての機能を十分に満たすことです。それらを満たした上で、そのスキマにオーディオを入れ込むのが良いでしょう。しかしながら、このような手法では音響的に満足することはまずありません。特に、マルチチャンネルのシアターの場合は、その難易度は更に高くなります。そこで、トリノフのような補正システムが登場します!。つまり、新築のリビングオーディオであっても、トリノフの補正を前提に、リビングを設計してオーディオを配置すればいいのです。しかしながら、これはかなりの暴論かもしれません。

私が考えるリビングオーディオの図式がこれです。

【「家族との調和」×「生活との調和」×「音質」=総合的な満足感 】

リビングオーディオの総合的な満足度は、音質だけでなく、家族との調和や生活との調和も重要です。リビングは家族が過ごす場所であり、家族からのクレーム一つで、思ったように音楽を楽しめなくなってしまいます。音質はお金や労力をかければ良くなりますが、家族と調和がとれなければ台無しになってしまうのです。音質を少し犠牲にしてでも、家族と生活との調和をとることで、全体の満足度は高くなると思います。
トリノフは、限界はありますが、どんな部屋でもとりあえず、かなりそれっぽい音になるため、新築のリビングを住居としての性能を重視してもオーディオが成り立ちます。しかしこれには、オーディオマニアには反発されるかもしれません。それでも、リビングでのオーディオは、家族との調和や生活との調和を考慮しながら慎重に妥協して行うことが、トータルでプラスにする方法だと思います。トリノフが前提にあったのでは、高価なスピーカーを入れる意味が薄れる、さらには新築でリビングオーディを創る意味も薄れてしまうと感じるマニアは少なくないとは思います。それでもそのくらい慎重にかつ妥協してやらないとリビングオーディオはトータルで損してしまうと思うのです。

なんにせよ、家族と一緒に音楽を楽しんだり映画を見たりすることは、非常に贅沢な時間だと感じます。以前の家で、リビングオーディオを楽しんでいました。不便な点もありましたが、家族との時間を共有できたことは、オーディオのやりづらさを超える素晴らしい経験でした。現在は完全な個室で音楽を聴いていますが、これは逆に家族との不協和を生む可能性もあることを感じています。過去に、長時間ヘッドホンをつけていると母親の機嫌が悪くなったこともありました。(結構あるあるだとおもいますw)その後は、ヘッドホンをつける時間を少なくして、スピーカーで小さく音楽を流すようにしました。また、ヘッドホンでの長時間のリスニング同様にリビングオーディオで超爆音で音楽を聴くことも、同居人との不協和を簡単に生み出してしまいます。これを書くと、オーディオ趣味ってなんて孤独な趣味なんだろうと嘆きたくなりますが、趣味の奥深くには、人や物との新しい出会いや発見があります。決してオーディオ趣味は完全な孤独ではないと思います。
ですから、本当の自由を手に入れて音楽を聴いたり映画を見たりすることは、非常に貴重な時間であり、贅沢な時間だと感じます。オーディオに限らず、結婚して育児もしつつ趣味も楽しんでいる世界のお父さんお母さんたちは、さぞかし大変な思いをしているとは思いますが、それ以上に人生を楽しんでいることでしょう。

うちもオーディオの家を建て、専用リスニングルームを創りつつも、同時にリビングでもプチシアターを楽しめるようにして欲しいと依頼しました。できたリビングオーディオ環境は、テレビは最大55インチ程度までであり、マルチチャンネルでスピーカーを鳴らすことはできず、スピーカーも大きめのブックシェルフくらいしか置けません。現在は伯父さんの遺品であるSignature805を使用して、リビングオーディオを楽しんでいますが、これがオーディオルームとはまた異なる楽しさがあり毎日の生活を彩っています。
うちのリビングは、長方形でシンプルな形状であり、左右対称を保ちつつ、オーディオルームが上階にあるため、天井は二重構造になっており、しっかりと吸音とある程度の調音がなされています。そのため、適当なスピーカーでも良い感じに聞こえます。805の前は適当なアクティブスピーカーを鳴らしていました。これには、ガチでオーディオやシアターをするつもりがなかったからこそ生まれた楽しさがあると思います。
今後、トリノフやデビアレのようなデジタル技術は日進月歩で進化していくと予想できます。またハイエンドオーディオという趣味自体の価値観も移り変わって行っています。そんな中、もっとカジュアルにリビングオーディオを設計して楽しむのはありなのではと思います。とは言いつつも、現在多くの人が、普通のマンションや戸建てで、普通のリビング部屋を使って、普通にオーディオを楽しまれています。確かにオーディオ専用に創られていないので苦労は沢山あるかもしれませんが、だからオーディオが全く面白くないということにはならないと思います。事実、以前の家のリビングは本当にただの居間でしたが私が勝手に”オーディオルーム”に変えて楽しんでいました。完璧な理想はあれどそこそこで十分だと私は思います。

リビングオーディオの理想は、ガチのオーディオやシアターよりも、家族で一緒に過ごす時間を彩ってくれるようなBGMをさりげなく流す程度のオーディオシステムだと感じています。結論を言えば、家を建てるなら、カジュアルなリビングオーディオとガチの専用リスニングルームがあると、オーディオマニアの理想が叶ったと感じるとは思いますが、なかなかそういうわけにもいきません。 なにより、家づくりやリビングでのオーディオは人間性をかなり試されているなと感じます。音は人なりそして、リビングオーディオはその人の生き方そのものかもしれません。