エヴェンゲリオンのブームから約30年。深夜アニメが過剰に量産され始めてからもう10年以上が経っている。1クールでめまぐるしく消費される深夜アニメは、ラベノのアニメ化ブームや、きららの日常系アニメブームなどを経て、現在ネタの枯渇に悩まされている。今や、アニメオタクと呼ばれた人たちはアニメよりもソシャゲだったりVTuberに夢中になっているようだ。逆に深夜アニメが一般にも周知され、受け入れられ、進撃の巨人だったり、推しの子、鬼滅の刃、送葬のフリーレンといったアニメが一般層にまで人気を博している。人気のアニメの裏側で、小説家になろうを原作としたアニメ、通称なろうアニメが、作られては完全に忘れ去られてを繰り返している。ほとんど同じような設定のキャラや舞台で同じような話の展開がなされ見る方だけでなく作る方も限界に来ているのではないかと感じる。アニメの人気の高まりをうけて需要は増しているにもかかわらず、アニメの題材となる原作が圧倒的に不足しているのだ。

一般層向けの幅広い層に向けたアニメの他に、ウマ娘やガルパン、ゆるキャンといった、30~40代以上の中年男性向けの”オタク向け”作品は、今でも根強い人気を誇る。特に、大人の男性が好む「おっさん趣味を女子高生にやらせる作品」は大ハズレがあまりない。しかしこれもまた、釣り登山キャンプから麻雀まで、もうすでに人気ジャンルはやり尽くされている。同じバイクでも、ばくおんとスーパーカブがあったり、スポーツ部活系だったら昔から人気の漫画はいくらでもある。
そんななかなぜ手をつけられていない、”大人の趣味”があるそれが「ピュアオーディオ」である。現在ピュアオーディオは大変にマイナーな趣味となってしまっている。そのために、オーディオのメインユーザーは60代とも70代とも言われている。お年寄りがメインの趣味でありつつも、イヤホンヘッドホンまでハードルを下げると、若者も多く存在する印象だ。ここでいう若者はもうすでに30代40代を超えている可能性は否定できない、それでも、ネットニュースやまとめサイトなどで、ピュアオーディオのネタが挙がるとネット民は、異様に盛り上がるのである。思うに、ピュアオーディオはネット上で大人気ではないものの、安定した支持を得られる定番ネタだ。ネットでオーディオの話をし始めると、ネットのオーディオネタを見たオタクが、マイ電柱だの電力会社コピペだのゴールドムドの真実などをぼそぼそと沸き立って言い始めるが、これほどまでに使い古されているネタ、逆に言えば長年愛された小ネタもそうそうないように思う。
ネットのキャッチーなネタでなくても、異質さを感じるピュアオーディオという趣味への、絶大なる関心や不思議さ、突っ込みどころは、オーディオを趣味としていない人ほど興味がそそられる滑らないネタの宝庫である。

日本のオーディオ業界は、近年苦境に立っている。ユーザー層の高齢化と需要の低下によって日本のオーディオ文化が消滅する日は近いと思われている。現に、日本の住宅環境や生活スタイルにそぐわない趣味であることは明白ではあるけど、オーディオ趣味の面白さ意外性、非日常的な音楽体験は他の趣味では得られない喜びと狂気がある。実際に何百万円もかけてピュアオーディを趣味にしなくとも、何千万という価格のスピーカーが存在したり、100万以上もする電源ケーブルや電源アクセサリーにこだわる、知らない世界が実は身近にあることを、10代20代の若い層だったり、今までオーディオにあまり興味が無かった音楽ファンだったりに伝えたい。特に、音楽ファンなら一度で良いから適当なオーディショップやイベントでピュアオーディオを体験して欲しいなと感じる。えらく上から目線な物言いではあるけれど、体験したら分かる人には、特別な何かが必ず感じられると思う。そのために、まずピュアオーディオという趣味があることを周知し人々に感心を持ってもらうことが大事だと思う。

そんな、興味関心を引きつける最高の題材が、大人の趣味を女子高生にやらせる、日常趣味系アニメである。つまりは、「オーディオ趣味の女子高生の日常を描いたアニメ」が適していると思う。そうでなくても、オーディオ趣味にここまで深く染まってしまったこの身、一度で良いからアニメのと言うデフォルメを通して、オーディオの世界を見てみたい。もし宝くじがあったらオーディオ趣味のアニメ化に全力を尽くしたいレベルである。今現在オーディオっぽい漫画やラノベは、ミミヨリハルモニアがあるがこれはヘッドホンがメインの話である。ずいぶんとマイナーになってしまった趣味故に、オーディオを題材にした漫画やラノベと言った作品はかなり少ない。ただ、アキバを題材にしたり音楽を題材にしたアニメにちらっとオーディオ要素が紛れ込んだりはしている。けいおんでは、主人公の唯や澪が使用したギターやヘッドホンが品薄になるほどに売れた。この現象は最近のアニメでも続いており、ぼっちざろっくや響けユーフォニアムでも楽器が売れたり、高校の新入部員が増えたりとごく小さな社会現象が起きている。きっとオーディオのアニメ化もうまく作れたら少しでもオーディオ界が盛り上がることが十分期待できる。

とにかく、オーディオ趣味を題材としたアニメが見たい。それ以上でもそれ以下でもない。ついでにオーディオ業界が賑わってくれたらそれはそれでいい。実のところこのオーディオのアニメ化は10年以上前からヘッドホン娘だったりの擬人化などでずっと考え続けている一大テーマだ。気持ちだけは持ちつつも時間だけが経過している。そうしている間にオーディオ趣味はもっとマイナーにとっつきにくいものになっている。日本ではオーディオを作ったり修理する技術者も高齢化しているし、販売店のスタッフもユーザーもまんべんなく高齢化している。早くアニメを作らないと、完全に過去の趣味になってしまう恐れがある。

そうしている間に、新しい技術革新AIが一般にも浸透してきて、日進月歩で次々と新しいサービスや技術が開発され、様々な場面で活用され始めた。それは朗報でもあり実はあまりに恐ろしい悲報かもしれない。
オーディオをアニメ化する上で、まず必要なのが原作であり脚本だ。その次に予算を集めてアニメを作ってとアニメ化はかなり大がかりである。しかしながら、近年のAIの進化を見るに、個人規模でもアニメが作成できる可能性が出てきた。脚本、声優、BGM、作画もAI。全てをAIによってまかなうことができる時代がもう来ているのだ。今現在ではかなり不完全ではあるけれど、もうすでにAIを補助的に使っているアニメスタジオやプロのイラストレーターや作家なども存在している。あと数年でAIが生活必需品になり、世界を変えることは間違いないと思っている。その反面で、誰もがアニメを作れてしまう懸念がある。これは、AIイラスト生成が世に広がったとき、イラスト投稿サイトpixivがAIイラストまみれになったことを思い出す。今までとてつもない労力がかかっていた創作物をものの数分で量産できるようになった。そうなると、そういった創作物の価値は相対的に地の底に落ちる。供給と需要のバランスが崩れた市場では、創作物であっても物の価値は失ってしまう。シンギュラリティが訪れるのはあと5年なのか10年なのか分からないが、AIの進化スピードはとにかくえげつない早さだ。オーディオ趣味をアニメ化するにしてもあと3年程度以内に制作しなければ、そもそものアニメの価値がなくなっていると思う。

20XX年、創作物はAIで制作することが当たり前になる。それと同時に、人々からの創作物への興味関心は失っていると思う。何百枚万枚と出力された同じようなAIイラストに興味をそそられないように、あのあまりにも労力がかかっているアニメというコンテンツですら、AIの手に変わった瞬間から価値が劇的になくなってしまうと思う。アニメや漫画、小説と言った創作コンテンツが今後どうなるかは予想できないが、一つ分かるのは、アナログからデジタルになったときのように、デジタルはAIによる、”スーパーデジタル”へと進化するだろうと言うこと。そしてそれは、誰も望まない進化である可能性が高い。現状でもなろうアニメの粗造には嫌気がさしているアニメオタクは少なくないだろう。これがAIによってすさまじい速度で加速する可能性が高い。現状Youtubeでは、AIが氾濫しないにしても、あまりにも多すぎるその動画コンテンツによって、本当にいいものも悪い物も、動画という海の底で誰にも発見されずに埋もれてしまう。テキストメインのプラットフォームだったらもっと深刻である。

そんなわけで、誰でもアニメが作れる時代が来たらオーディオを題材にしたアニメを作るだろうけれど、そうなった頃には、今のYoutubeの動画みたいに、ほとんど誰も見向きもしない砂浜の砂粒一つのような存在になっていることが予想される。こうして作文しているブログも現状、価値の創出や人からの注目と言った観点では非常に危うい。人々の娯楽とクリエイターは今後どうなっていくのか注目でありつつも、未来は思っているより暗いかもしれない。それでも、AIのよる脅威はアニメや創作物だけでなく、オーディオ機材にも、生活家電にまで及ぶと予想している。そしてこのブログの挿絵もまたAIなのです。