それから数年の時が流れて、住みづらくなった家を引っ越して小さく新しい生活をしようと考えていた頃、ついでだからコンパクトなオーディオルームも作りたいとフォーミュージックへ話を持ちかけると、坂を転げ落ちるように話は展開していきます。
新しい家探しやリフォーム業者に困っていた私たちに、うちならできますと自信を持って宣言してくれたり、家作りはもうしないと断言していたはずの社長が、もう家を作ってしまおうと言ってくれたり、瞬く間に進んでいきました。
新築についてここで話すには余りにも複雑で長くなるので、詳しい話は過去の記事だったりこれから書くであろう記事を見て欲しいですが、岡崎律子さんの出会いから、アニメに出会い、iPodを買い、オーディオ趣味をみつけ、大げさではなく人生が変わりました。
岡崎律子さんという存在は、私の中では生き方や在り方を優しく教えてくれる第二母親のようでもあり、人生の道しるべをくれた神様のような存在です。
実のところ、5月5日を迎えるのは、毎年とても辛かったです。これほどまでに私に影響を与えてくれた大切な人がもうこの世にいないこと。
しかも活動半に夭折してしまったという事実を受け入れられずにいました。どう願っても彼女に会うことは決してないのだと暗い気持ちでいました。
それでも音楽というかけがえのない遺産を残してくれました。私はただ残してくれた楽曲を聴いて日々の糧にしていくばかりです。
ですから私のオーディオには音楽が必要不可欠であり、音楽こそがオーディオが存在しうる理由です。
音楽界ではよく、色々なジャンルの音楽を聴きなさいだとか、クラシックを聴きなさいなんて言われますが、これは私なりに解釈すると、
「世界に何万と存在する楽曲に、あなたの人生を変えてくれるような素晴らしい音楽がきっとありそれに出会わずにこの世を去ることは余りにももったいないよ。」
という意味だととっています。
これは、誰もが一度は言われたことがある、「沢山の本を読みなさい」とほぼ同じ意味だと思っています。しかしこれは本や音楽だけではなく、学問だったり映画だったりアニメだったり、人との出会いだったりあらゆることに同じ事が言えると思います。
また、人それぞれ人生のなかで”大切にすべき何か”は違いますし、それに対する受け取り方や接し方もまた人それぞれのやり方や考え方があります。
「世界のどこかには、あなたの人生を豊かに変えてくれるような素晴らしいものや人がきっとまだある。」
人生とはそれを見つけ、出会うための長い旅路なのだと感じます。
ですから十人十色人それぞれの人生があるのだと思います。
だからこそ、趣味において変な制限があってはいけないと感じます
オーディオ業界で言えば、ハイエンドオーディオでアニソンを聴いてはいけないだとか、お金の無い人や若いはオーディオショップに行ってはいけないだとか。
趣味であるなら、もっと自由にマニア同士に「上下もなく」「勝ち負けもない」そういう世界になることをいつも願っています。
岡崎律子さんの音楽に出会ったことが全てだと言い切ることはできないかも知れませんが、それでも彼女の言葉や音楽がなければ、今はもっと別の生活をしていたと思います。
それが、今より良いのか悪いのかは分かりません。しかし、日々混沌とする昨今の世界で、今私はとても幸せだと感じている事実があります。
だから、5月5日は毎年、岡崎律子さんという世間では余り知られていないシンガーソングライターを小さく弔い、深く感謝するのです。
音楽という無限の愛を貰い、こんな素敵な出会いが沢山あったこと、新しい世界を沢山見て体験できたことに。
一度しかないこの人生で自分がやるべき事は何なのか、これまでの人生でやり残してしまったことがないか考察していくのです。
ただ泣いていた過去にさよならを告げて、5月の青空と暖かな日差しを抱いてまた新しい10年が紡げたらいいなと思うのでした。
生まれ変わることはできないよ
だけど変わってはいけるから
Let’s stay together いつも――― For フルーツバスケット/岡崎律子
最後までお読みいただきありがとうございました。
2020年5月5日 みかさ