6月3日に上棟した新しい我が家は骨格の検査が終わり建設作業がより本格的になってきました。令和になった翌日に晴天の下地鎮祭が行われ、ここまで順調に建築は進んでいきます。

一般的なハウスメーカーでは、間取りや家の外壁や窓の詳細な位置などをあらかじめ決めてから、家の建設に着手するわけですが、うちでは、半分以上を建てながら建築現場へ足を運びつつゆっくりと決めていきます。実際問題、CGや図面であれこれやるより等身大の現場でコンセントの位置だったり照明の位置だったりを詰めていく方が、より確実に高さだったり奥行きだったり緻密な設計ができます。
よくあるミスでは窓が開けづらいとかドアが干渉して危ないとか実際に完成するまで分からないような軽微なアクシデントが家作りでは枚挙に暇がありません。

THE 家の設計デザインと言えば間取りそして家の外観かもしれません。ぶっちゃけ何でも良い人では予算に合った使いやすい素材を適宜使えばよろしいかと思います。しかし多くの人が自分好みの素敵な家に住みたいというのが本音だと思います。長く住む我が家ですから、家に帰ってきたときにワクワクするようなそして安心するような家の見た目が理想的です。



 我が家は総二階の切妻屋根で手前にはひさしが出ていますが、全体的にとてもおとなしい印象を受けるシンプルな家です。
もうすでに屋根の素材はガルバリウムで施工済みです。耐久性やコスト、非常に重視した熱効率を考えて、薄灰色にしました。屋根の色はほとんど見えませんが、ひさしのガルバリウムはよく見えます。

一つ知識として、屋根の色によって耐久性や夏に熱の反射率が変わってきます。色はその光の周波数と塗料の材料によって赤が非常に色あせしやすく濃紺や黒が色あせしにくいと言われています。
しかし黒の場合今度は、熱を吸収しやすい熱い屋根になりやすいです。
そこで、太陽光による塗膜劣化と熱反射率のいいとこ取りをしたグレーが出てくるわけです。外壁も同じ事が言えますが太陽光をもろに受ける屋根が最も色を重視して選ぶべき部分です。
ネットを検索してみるとよく風水だとか、好きな色だとかありますが、屋根は薄いグレーがもっとも効率的で品のある色だと思います。
また屋根素材が軽くて作業性が良いことはここで上げるまでもありません。

そんなわけで、グレーのガルバリウムの屋根にほぼ自動的に決まりました。しかし9割機能性重視で選んだ屋根素材ですが、とても穏やかで品のある仕上がりになりました。

屋根が決まると自ずと、破風や外壁、玄関ドアやサッシの色も自動的に決まってきます。
もともと家全体の色は白系でまとめたかったので、ここもまたコストが安く済むガルバリウムにしました。

しかし、家全体をガルバリウムにしてしまうと、白を選んだとしてもとても非常にシャープな印象の家になります。とらえ方によっても寒々しく倉庫のような無機質感があり印象は余りよろしくありません。

その解決策として部分的にレンガや木目調のガルバやサイディングをアクセントとして入れることです。
ベランダの出っ張った場所や、玄関の奥まった箇所などをレンガ調やその他様々な違った素材感のある外壁を取り入れることが多いです。実際Pinterestなどのアプリで「ガルバリウム 外観」などで検索してみると、ガルバリウムとウッドパネリングを採用している家が非常に多いことに気がつきます。

また玄関周りやアプローチなど人通りがあるところをガルバにすると金属サイディングの弱点である凹みや傷そして触ったときのどうしようもない金属感…
そのために、軒下を全てウッドパネリングを行うと考えたのですが、社長がストップをかけます。ウッドパネリングは実際の木を使い外壁用の塗装を行います。本物の木ですから、金属やサイディングよりも耐候性が著しく弱く10年も経つと、あの美しい木目がどこへ!!!色は灰色に表面はガサガサだと言います。
特に、新潟のような雪が地域ではその劣化はあまりにも著しいとのこと。

こちらは建ってから1年と少しの軒天のウッドパネリングです。

住宅展示場にあるアサヒアレックスの軒天ですら、雨のシミがたった1年余りで付いています。
もう一例見てみましょう

こちらも同様に建ってから1年余りのアーバンハウス新潟

こちらも同じ住宅展示場ですが、1年で明らかに色あせが発生しています。加えて上部ではもうすでに灰色になりかけています。
見た目を激しく気にする住宅展示場の家ですらこの有様なのです。
しかし展示場では10年程度でお役御免!つまりはウッドパネリングがボロボロになりきる前に取り壊してしまうケースが多いようです。
雨が多く雪も降る日本海側の気候ではとにかく外壁のウッドパネリングは避けた方が無難です。コストも高いですし数年に一度塗装を行わないとあっという間にボロボロ…

そこで、ウッドパネル調のサイディングやガルバリウムの登場です。
最近の建築素材ではそのデザインの種類といったら選びきれないくらいに沢山あります。
しかしサンプルを取り寄せて、実際に光に当てて見てみると何とも言えず安っぽい上に金属感は隠し切れていません。
うーんとしばらく悩んだあげく…やっぱりウッドパネルにすることに……。

これだけ外観が酷くなると言っておきながらやっぱりの木ですがやっぱり本物の木の質感は素晴らしい!
よく考えて、軒下だけ入れるのは変わらず、軒の長さはかなり長めで雨が入りづらく、塗装がしやすい1Fの前面だけ。
しかし家は総二階の長方形の家なのでガルバと木の境目を凹凸で付けることができません。そうなると境界の認識があやふやになります。そこで、左右の壁を柱一本分凹の字のように出っ張らせることで、空間に意味を与えます。
そして、白いガルバの外壁と、グレーの屋根を総合的に見て木の色は白になりました。せっかくの木なのに白なのと思いますが、これが非常にトリッキーでガルバの白と木の白ではよりその素材感が際立ち、そのテクスチャの違いというのがより家を立体的で美しく見せると言います。
加えて、全体のプロポーションがシンプルでモノトーンにまとまったことによりとても大人びたシックな外観が完成しました。


ここまで来ると、玄関扉やサッシは自動的に決まります。
サッシはYKKapのAPW330ですが、外は汚れが目立たず飽きの来ないそして馴染みの良いプラチナステン。
玄関扉もYKKapのヴェナートからシンプルで機能的なC07t。

親子扉を採用。断熱は強い方のD2。

色は引き出した左側のグレー


サッシはもうすでに施工が完了し、玄関扉も発注処理が行われ、外壁のガルバは確定して、
ウッドパネリングの追加の見積もりを確認してGOサインを出すだけです。

家の外観は他にも屋根の形やベランダや玄関の収まりなど様々な要素を含みますが、素人目に見て決められるとろは案外少ないなかなと思いました。
なにより、玄関や窓の大きさや位置がその家の表情を決めるので家のトータルでの見た目を設計するというのは大変骨の折れる作業です。
概ね、道路側や南側の窓は綺麗に配置して北側は機能性に特化するのが普通の家の設計です。

 全体を見たときに綺麗な仕上がりをしている家はよほど設計士さんの腕が良く、話を十分に行い、さらにコストがかかっているのだと感じます。そうして街を見ると様々な家のドラマが見えるようで街をちょっと散歩するだけでも違った風景が見えてくるわけです。

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