2018年、今年の3月1日よりハーマンインターナショナルからゼファンへ移管されたクリスタルケーブル。
ちょうど、大型連休中に開催された新潟オーディオショウにも登場し
純金と純銀で出来たその導線にもうこれ資産だよねと笑いながら話していたのを思い出します。
そのえぐいお値段からステラゼファンブースで最も気になった製品でした。

クリスタルケーブルと言えば、今では韓国iriverとのコラボで、イヤホンケーブルの印象が強い感じがしますが、あちらの方面からみたらNORDOSTもまた超高級ヘッドホンケーブルのイメージが付いているのかも知れません。

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ゼファンのHPでは2つの階級にそれぞれラインナップが存在することが分かりますが、どうにも実物がどうなっているのかいまいち分かりづらいと思います。
これは本家本国のHPも同様でデザインが重視されすぎるがあまり製品の写真があまりにも少なすぎるのです。
それぞれのラインナップにある、スピーカーケーブル、ジャンパー線、RCAXRL、電源ケーブル、デジタルケーブルとそれぞれどんな見た目なのか検索してもいまいち出てきません。

このあたりはエレクトリのノードストのPDFはかなり整理されており非常にわかりやすいです。

これはもう借りて実機を見るしかないと言うわけで先月、F社へメールを送ってクリスタルケーブル通称”VALHALLAセット”を自宅視聴してみました。本記事はそのレビューです。

二つ。借りました。
一つが電源ケーブル、もう一つがスピーカーケーブルです。
ちょうどお盆を挟んだために、お盆明けまで借りてていいよということで8月5日から20日まで2週間と1日レンタルさせて頂きました。

■電源ケーブル『CRYSTAL CABLE DREAM LINE PLUS』

MONOCRYSTAL シリーズの一番安い方のDream Line Plus メーター57万円です。
HPの不親切さから察するに、クリスタルケーブルもまたノードスト同様に線材屋さんであることはまあ間違いない気がします。
ゼファンいわく、このドリームラインプラスの電源ケーブルがノードストのヴァルハラユーザーを狙い撃ちしているようで、スペックはともかく値段は設定は同価格帯です。

※エレクトリ ノードスト VALHALLA 2 PWR 1.0M 51万円です。(2018/08/22現在)

まず見た目ですが、実機は小さな黒い巾着袋に入っておりその小ささから本当に電源ケーブルが入っているのかというほど小さくコンパクトにまとめられていました。
太く硬く重いケーブルが氾濫する今時のハイエンドケーブルで、ここまで細い線でしかもしなやかなケーブルはクリスタルケーブルだけだと思います。
またプラグにはロゴが印字されたグレーの巾着袋がさらに装着されていました。
オーディオアクセサリーと言うより貴金属宝石のようなラグジュアリー感を強く感じます。

はじめに、ノードストのVALHALLAと比較するべく、ヴァルハラが刺さっているdCSのRossini Playerへ使ってみました。
※NORODOST VALHALLA無印後期タイプとクリスタルケーブル Dream Line Plusとの比較です。
一聴して分かるのはノードストとのキャラクターの大きな違いです。
ヴァルハラでは広く音像が展開して見通しが良くなるのに対して
ドリームラインプラスでは中高域を中心に倍音が豊かになるような印象で
音像は小さめにまとまりつつも、ボーカルが非常にリッチになるような感じでした。
個人的にはdCSにはODIN以外の正解はないかなと思ってはいましたが
ボーカル一点主義では、クリスタルケーブルに軍配が上がる気がしました。

ラベリング効果を避けるために、事前にクリスタルケーブルの調査、レビューを見ないようにして実機の音を聴きましたが、9割方目隠しで当てられるくらいの変化があると思います。

音像展開に少しの窮屈さを感じて今度はプリアンプへとクリスタルケーブルを挿しました。
※C800fのNOROST HEIMDAL2 をクリスタルケーブル DreamLine Plusに変更。
今度は、ヴァルハラとドリームラインプラスを同時使用です。
プリアンプは今やセレクターとしてだけ働いてくれていますが
ヴァルハラの空気感をそのままにクリスタルケーブルの中高域の倍音感が追加されました。
またノードストオンリーの現在のシステムでは、クリスタルケーブルを一本入れただけでほどよく高域がほぐれた気がします。

ボーカル域が強調されるのが印象的ですが、オーケストラやサントラよりも海外アーティストよりもキャラソンのような甘い特徴的な声ほどよく効く印象です。
上位モデルのアブソリュートドリームやアルティメットドリームは非常に高価ですがそれでも数カ所に導入したくなる気持ちが分かったような……

ただ、ゼファンの言うヴァルハラの代わりという表現には少し疑問です。日本での価格帯はライバル的存在ですが、あまりにもキャラが異なります。
代わりと言うより、一緒にと言った方が良さそうで、VALHALLAを買うようなユーザーに一緒に買って貰いたいそんな感じだと思います。

■スピーカーケーブル『CRYSTAL CABLE ULTRA DIAMOND』

モノクリスタルシリーズの格下ダイアモンドシリーズです。
格下といえど、スピーカーケーブルでは100万円を超えいます。

ダイアモンドシリーズでは、ULTRA・REFERENCE・MICRO・PICCOLOの4段階あり
その最上位モデルULTRA DIAMONDです。

ウルトラダイアモンドスピーカーケーブルもまたノードストのヴァルハラスピーカーケーブルと同価格であり今回のセットはまさにヴァルハラ聞き比べセットといった感じでしょうか。

参考価格:
ゼファン ウルトラダイアモンド スピーカーケーブル  2.0M 100万円
エレクトリ ヴァルハラ 1.25M 100万円

レンタルを申し込んですぐに来る予定が一つ前に借りた方の返却が遅れたために2週間ほど待たされました。
当初アッコルドでの試聴を検討していましたが、暑さに負けてアッコルドを片付けてしまったので、バランスが悪いですがミニマビンテージでの使用レビューです。

箱からしてしっかりとデザインされているような化粧箱に収められていました。
中にはケーブルと、フォログラムが付いたオーナーズカードが入っています。なんともプレミアム感が漂う演出です。
ただ、クリスタルケーブルは現在偽物が出回っており、こういった工夫をせざるを得ないのでしょう。

加えて、謎箱と評されることの多いケーブルにくっついている部品ですが、これは飾りではなく、スプリット構造による理にかなったシステムが搭載されています。
ケーブルの先端部はバナナプラグ、Yラグとそれぞれのバイアンプ仕様をスピーカーやアンプに応じて簡単に取り替えることができます。
通常のハイエンド機器には見られない女性らしい細やかで実用的な配慮を感じます。

ただ一つ疑問に思ったのが、このケーブル向きが書いていません。スピーカーの皮膜は全て透明ですしプラグにも特にそれっぽい表記はなく、ただあるのはスプリット部分のカバーにあるロゴとシリアルナンバーですが、どこかで付け替えられたときに間違えたのかLRあるの二本のケーブルで、「→→」「→←」とバラバラになっていました。
F社Iさんに伺うと、おそらく初動でモノクリスタル構造での向きが決まるか向きは気にしなくて良いとのこと。

まだ使う予定が無かったのですが、せっかくなので最善を尽くそうと思い、AQUARIUSを3rdシステムへ無理矢理導入しました。
部屋が6畳と小さいので、パワーアンプとラックを離して設置してもケーブルを延ばせばぎりぎり全ての機材をISOTEKへ繋ぐことが出来ました。
これだけでも音は大きく向上していますが、ここへさらにクリスタルケーブルをいれました。

中間位置にISOTEKを置いた。
箱の角が鋭利なのでラックへきれいに収めておかないと結構危ない。

見た目には非常にアンバランスですが、ミニマビンテージのノードスト レッドッドーンをクリスタルケーブルのウルトラダイアモンドへ変更します。

さらに、電源ケーブルをLUXMANのJPA1000からドリームラインプラスへ変更しました。

ノードスト特有の帯状スピーカーケーブルからクリスタルケーブルの細いケーブルへ変えると、スピーカー周りがスッキリとしました。
そして、システム総額の半分がケーブルと電源で出来ているスペシャルシステムが現れました。
さっそく、音を聴くとミニマの濃い音がさらに濃くなったような印象で非常にリッチなボーカルです。
レッドドーンとウルトラダイアモンドでは比較のしようがないほどに音にリアリティがありボーカルもヴァイオリンも艶やかです。

一言でまとめるなら、ボーカルが非常に艶(あで)やかで力強さを感じます。

しかし、どうにもミニマとM200ではクリスタルケーブルの能力の3割も引き出せていないような感じがしました。

プラグの皮膜。なにも書かれていない。

DENONのプレイヤーへドリームラインプラスを移動。

トータルバランスは悪いですが、クリスタルケーブルのニュアンスは十分に感じ取れる。

■クリスタルケーブル総評

線材だけに注目すれば、銅と銀メッキと技のノードストと銀と金のクリスタルケーブル。
コストを考えると、特許技術と制作費ががメインのノードストにくらべて
ゴールドとモノクリスタルシルバーの原材料費のクリスタルケーブルといった印象です。
材料費でいったらクリスタルケーブル以上のケーブルは存在しないように思いますが
それ故に、かなり割高に感じるところがあるかも知れません。
それをいったら銅と銀メッキのノードストもかなりの割高感はあります。

どちらも超高級ケーブルメーカーの名に相応しいハイエンドメーカーですがどちらが良いとは言えない良さがそれぞれにあるかなと思います。
ハイエンドケーブルは音に変な癖が少なく使い勝手はよろしい感じがしますが、個性が強く、音にそのメーカーのキャラクターがしっかりと乗っていく印象です。

今回クリスタルケーブルを借りてケーブルで音を調整するという行為に十分な説得力がでてきて、ミドルクラス~ハイのアンプやスピーカーシステムでもウルトラハイエンドの音に近づけるというのはあながち嘘ではないと。(海外ハイエンドケーブルはノードストしか自分のシステムで聴いていなかったので。)
ケーブルに100万円単位のコストが普通にかかってくる非常に深く恐ろしい世界かなと思いました。

実際問題、クリスタルケーブルを入れるとしたら、アブソリュートドリームをプリに入れるか、将来的にドリームラインプラスをクロックに入れるかそんな感じになると思います。
スピーカーケーブルに関しては、まだノードストのVALHALLA2を狙って行こうかなという感じです。

クリスタルケーブルは代理店がゼファンに変わりましたので、以前よりも気軽にレンタルできるようになったように思います。全種類用意してあるようですので気になった方は是非一度借りて確かめてみてください。

■おまけというにはぼやきすぎるおまけ

クリスタルケーブルのデモ品が2週間以上遅れてやってきて
ようやく来たかと思って写真を撮っていると、スピーカーケーブルのウルトラダイアモンドの様子がおかしいことに気がつきました。

よく見るとケーブルにパワーアンプかなにかの角で5cmほどズリズリと抉ったような跡がありました。

テスターで棒をそっと当ててチェックしてみると皮膜が破れて完全に通電してしまっていました。
F社とゼファンへ問い合わせると、しらないとこのこと。
幸い、ショートはしていませんでしたが、この破れた箇所から内部が酸化していくのは目に見えていますし+-ともに等間隔で皮膜が破れているのでショート危険性があります。

「テープ貼ればおk」とのことだったので、とりあえずパーマセルテープで絶縁して試聴しました。

加えて、スピーカーへバナナプラグを差そうとした時のこと…
バナナプラグが一本歪んでました。

察するに、アンプかスピーカーへ繋がった状態で何かを引っかけてしまったのでしょう。
100万円以上するケーブルで(3Mあるので定価は130万円です。)こんなに荒っぽい扱いする人いるか?と疑問に思いました。
その上で、借り物なのに返却時にゼファンへ報告してないのかと驚きを隠せません。
これだけがっつりやっていれば、気づかない訳がありません。
返ってきた物をしっかりとチェックしないゼファン側にも少し疑問が残りますが。

み「これボロボロなんですけど、一体どこに貸していたんですか…?」
F社「一個前はたしかメディアに貸したって聴いた、○○○版。たぶん、○○○○○○○○紙だと思うよ。扱い荒いからね。www」
み「期限守らないし扱い雑って……(絶句)」

そういえば去年の朱鷺メッセでのフェーズメンションブースではカードリッジについて最後にこんなことを言っていたのが印象的だ。
「今までもかなりの数貸しだしていますが、お客さんが壊したという事例はありません。そんなに壊れやすい物ではありません、壊したの唯一扱いの乱暴な雑誌社だけです。」

オーディオは丁寧に扱おう。

おわり。