私は今、オーディオを整理しています。AIを使いながら、効率のいいオーディオ、無駄のないオーディオを目指して、少しずつ不要なものを手放しているところです。

今年、手放した大きなもののひとつがノードストのケーブルでした。私はこの10年、ノードストのケーブルだけは信じてきました。スピーカーケーブルにはじまり、ジャンパー線、電源ケーブル、XLRケーブル、USBケーブル、BNCケーブルまで、オーディオに使うケーブルのほぼすべてをノードストに置き換えてきたのです。

けれどAIが登場してから、ケーブルの音そのものを楽しむ必要性を、以前ほど感じなくなりました。USBケーブルは1000円以下のエレコム製、LANケーブルはバッファローの普及品、といった具合に、高級オーディオグレードのものから一般的な製品へと切り替えていきました。

整理の対象はケーブルだけではありません。インシュレーターや電源装置なども、今の自分に本当に必要かを見直しています。この一連の流れは、noteやYouTubeなどに点在していますので、ご興味があればご覧ください。

オーディオを整理していくなかで、確信をもって言えることがひとつあります。とにかく、見た目が整っていくことです。無理に太くて硬く、色数の多いケーブルを使う必要はまったくありません。電源ケーブルもRCAケーブルも、業務用や普及品を普通に使うだけで、部屋からケーブルの存在感がすっと消えていきます。

そんなふうにオーディオルームが整っていくなかで、最後まで悩まされたのがスピーカーケーブルでした。

オーディオルームの中で、もっとも目につくケーブル。それがスピーカーケーブルです。オーディオマニアのスピーカーケーブル選びは、素材や線材の構造、シールドの有無などで語られることが多いと思います。けれど私が求めていたのは、少し違いました。

程よい存在感があり、あまりにヘロヘロしていないこと。最低限の電気容量を確保し、低域が痩せないこと。太すぎず、素材感が前に出すぎず、部屋の中で影に徹してくれること。特に、色、質感、太さといった見た目の条件まで含めて、今のオーディオルームに合うケーブルを探すのは、思った以上に難しい作業でした。

オーディオ用ケーブルには、いかにも効きそうなメタリックブルーや、メッシュ被覆のような強い意匠のものが多く、意外なほどインテリアとの調和が考えられていません。逆に、業務用や低価格帯の製品には、白、黒、グレーといった工業製品然としたものが多く、これもまた部屋に馴染みにくいのです。

さらに、家電量販店で気軽に買える普及品は、長さを取るとインピーダンスの面で不利になり、物理的に音が変わってしまう可能性も否定できません。こういうとき、もっとも頼りになるのはモガミのような業務用ケーブルです。価格も安く、加工もしやすい。ただ、どうしても真っ黒な見た目だけは気に入りませんでした。

欲しいのは、程よい茶色やパープル、あるいは赤系の色味で、高すぎず、それでいてケーブルとしての音質も完全には捨てていないもの。チャットAIで探していくなかで、もっとも妥当に感じたのがSAECのSPC-850でした。切り売りで購入できますし、完成品ケーブルも販売されています。

これだ、と思いました。けれど、ひとつだけ引っかかる点がありました。SAECの完成品ケーブルは、バナナ端子とYラグを付け替えできるネジ式端子を採用しているのですが、これがどうにも精神衛生上よくないのです。ここで、妙なこだわりが顔を出しました。

ケーブルの音にはこだわらないと言いながら、端子の処理にはこだわりたい。自分でも少し矛盾していると思います。そんなとき、ふと思い浮かんだのが、以前Twitterで知り合った「あげぱん」さんのことでした。QEDのエアロック端子を取り扱っており、端末処理に関しては絶対的な安心感があります。

以前、モガミのケーブルで一度作成を依頼したことがあるのですが、そのときも末端処理の丁寧さに、他のケーブルにはない安心感がありました。そこで今回は、SAECのケーブルにQEDのエアロック端子を組み合わせたフルオーダーをお願いすることにしました。

Vivid AudioとDevialetで使いやすくなるよう、端子の枝の長さも少し調整してもらいました。GIYAのスピーカー端子は本体の底に奥まっているため、普通のケーブルでは差し込みづらいことがあります。さらにDevialet側の端子も蓋付きで奥まっており、どんなケーブルでも受け入れてくれるわけではありません。

発注から10日ほどで、ケーブルは届きました。実際に交換してみると、見た目は想定どおりすっきりしていて、しかも頼りなくは見えません。なにより、エアロック端子の揺るぎない頼もしさがとてもよかったです。

こだわった枝の長さもきれいに揃えられていて、熱収縮チューブの処理も丁寧に収まっていました。こういう細部の仕上がりは、見た目だけでなく、使っていて気持ちがいいものです。

スピーカーケーブルは長くノードストを中心に使ってきましたが、SAECに変えても特に不満はありませんでした。それよりも、見た目が整ったことによる満足感のほうが、思っていた以上に大きかったのです。

システムの中でケーブルが主張してこない。それだけで、こんなにも気持ちがすっきりするとは思っていませんでした。入れ替え前の写真を見返すと、あまりのごちゃごちゃぶりに自分でも驚きます。

スピーカーケーブルの製作依頼はこちらから

https://tataudio.jp/

QEDのAIRLOCは、ケーブルの先端を専用工具でしっかり圧着して、プラグと一体化に近い状態にする仕組みです。
ネジで留めるだけの端子よりも接触が安定しやすく、経年で緩んだり酸化したりしにくいのが魅力です。端末処理としての信頼感が高く、使っていて気持ちがいいのも大きな利点です。

 

QED エアロック端子。通常の圧着とは違い、非常に強い力でプレスし線材と端子を一体化させている。
スピーカー側の端子。枝を少し長めにした。長さが驚くほどそろっている。
アンプ側の端子。枝は少し短め。ここでも長さはかなりきっちりそろっている。

ケーブルの存在感はほぼない。

ケーブル入れ替え前のプリメインアンプ周り。

ケーブル入れ替え後。

2026年3月現在