9月29日(日)にNHKスペシャルにて「AIでよみがえる美空ひばり」が放送されました。
ボーカロイド初音ミクを作ったYAMAHAのエンジニアを中心に当時の美空ひばりにゆかりのあるスタッフが集結しました。
約1年もの歳月を使って業界のトップが美空ひばりの新曲そして美空ひばり自身をCGにて復活させる一大プロジェクトです。
まずは歌詞をご覧ください。
美空ひばり新曲「あれから」の歌詞
「あれから」
作詞 秋元康 作曲 佐藤嘉風 編曲 中野”まさ”雅夕陽が また沈んでいく
あっという間の一日
どこかに大事な何かを
置き忘れたような自分の影地平線は変わらないのに
静かに移ろう景色
生きるというのは別れを知ること
愛しい人よあれから どうしていましたか?
私も歳をとりました
今でも 昔の歌を
気づくと 口ずさんでいます
振り向けば幸せな時代でしたねいくつか 星が煌めいて
後悔さえ美しい
今日できなかった何かが
明日はできるような気がして来る長道を歩き続けて
ようやくたどり着けそう
生まれた瞬間から追いかけてきたのは
母のその背中あれかあら 元気でいましたか
随分月日が経ちました
何度も歌った歌を もう一度歌いたくなります
総誰も大切な思い出が人生「お久しぶりです
あなたのことをずっと見ていましたよ
頑張りましたね
さぁ 私の分まで まだまだ頑張って」なぜだか 涙が止まらない
心がただ震えていますあれあから どうしていましたか?
私も歳を取りました
今でも 昔の歌を
気づくと 口ずさんでいます
振り向けば幸せな時代でしたね
集まったスタッフのすごさ
作詞担当 「秋元康」
言わずと知られたヒットメーカーそして美空ひばりが最後に歌った川の流れのようにの作詞、30年のときを超えて再び美空ひばりのために米国ニュークにて作詞します。
川の流れのようにの川はニューヨークのイーストリーバーです。
1ヶ月あまりの選考会を経て現代的なポップス調の曲を選ばれました。さらに語りを入れるというさらなる挑戦に出ます。
美空ひばりの新しい世界観へ挑戦です。
AIプログラマー YAMAHAプログラマー 「大道竜之介」
3D立体投影
YAMAHA歌声合成チーム ヴァーチャルヴォーカロイドの生みの親
実在した歌手の音声を元にAIディープランニングを駆使して新しい音楽を生み出します
美空ひばりさんは生涯で1500曲もの歌をレコーディングしており、レコード会社から歌声だけを特別に提供されたそうです。
微妙な音程のずれや倍音を再現し本人らしい歌を再現することに成功。
CGデザイナー 映像開発チーム 3DCGチーフクリエイター「山本展敬」
SEGAのCGチームです。
表情生成AIでは表情を50カ所連動して動くように設定。
美空ひばりには専属の振り付け師はなくどのような振り付けを行うかはAIもっても困難でしたが天童よしみの協力を経て美空ひばりを再現することに成功。
歌手「天童よしみ」
美空ひばりにずっと憧れ続けた天童よしみがモーションキャプチャーをとりつけて実際に美空ひばりになりきりあれからを歌い、無意識に出る動きを3DCGに落とし込みました。
ヘアメイク 美容師「白石文江」
美空ひばりのヘアメイクを25年にわたって行った美容師です。
新曲のイメージに合わせて同じ背格好の女性に髪型をつくりCGに落とし込みました。
衣装 ファッションデザイナー 「森英恵」
美空ひばりが42才の頃からステージ衣装を全て作ってきたファッション業界の第一人者です。
天国から舞い降りてきた美空ひばりをイメージした衣装を作成しました。
森さんは御年90才を超えています。
美空ひばりの一人息子 「加藤和也」
生前に美空ひばりがカセットテープに吹き込んだ童話をAIチームへ提供します。美空ひばりの歌では語りがある曲は「悲しい酒」のみであり、教師データとして不足していました。
金沢工業大学 山田真司研究所
美空ひばりの歌に7kHzを超える高次倍音という特殊な倍音を発見。
ホーミーのような一人でいくつもの音を奏でる技法を曲の必要な箇所あけにピンポンとで行っていました。1音事に音色を変え鳥肌が立つような歌を歌っていました。
音楽は配信されるの?
AIで作られた音楽はピュアオーディオで再生するとどうなるのか少し気になります。
おおよそ最新の初音ミクと同等の雰囲気になりそうですが、作り方が大分違うので、どういった雰囲気になるのか気になります。
しかしながら今のところハイレゾ配信やCDの発売予定はないようです。
これだけの一大プロジェクトで生まれた曲ですから是非自分のシステムで聴きたいですね。
AIの可能性と亡くなった人の新曲を作ることについて
初音ミクの登場から、音楽のシーンは劇的に変わりました。
今まさにヴォーカロイドは次のステージへ行く時代の変わり目が今まさしく再来していると感じます。
しかしながら技術的にまだ不十分なところは多いようで生の人間とくらべるとやはり作り物くささを感じます。初期の初音ミクと比べると随分と本物らしい歌声に感じますがそれでもまだ乗り越えなければならない技術的なところは多いように思います。
ヴォーカロイドにAI技術が追加され音楽の新しい可能性そしてそのデモンストレーションとしての美空ひばりの新曲というのが今回の「あれから」のイメージです。これを機に沢山の新しい手法や技術が発展することを願います。
人はなぜ音楽を聴くのか、そして音楽を聴いて心が動き感動するのか考えるきっかけになりそうです。
なんだかんだで秋元康は人の情に訴えかけてくるような歌詞が書けるプロデューサーなのだと再確認しました。あの放送からあれからの歌詞やメロディーが気に入ってYoutubeで繰り返し見ています。録画しなかったのを激しく後悔しつつ。
美空ひばりあれからの動画
NHK公式チャンネルのYoutube動画です。
しかしながら初音ミクによって大きく発展した技術がこうしてNHKにて美空ひばりの新曲を作る架け橋になるとはとても胸が熱くなる思いです。
もし次に亡くなってしまったアーティストの新曲を作るなら誰の曲を作りたいですか?
私はもちろんあの人です。
おわり。
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