背中グックリやって1日寝たきりに。どうもみかさです。
日々体調との戦いを強いられているこの頃、家の設計は容赦なく進んでいきます。もう2ヶ月あまりで家が完成するというのだから時の流れは速い。
おそらくこのブログ記事もあと5つくらい書いたところで完成すると思う。
Youtubeもまあまあ順調に動画撮影と編集が進んでいて月3本程度しか上げられないけれど精一杯やっている。

目まぐるしく変わる現場の様子にはワクワク感とすこしの不安が混じり合う。
オーディオルームでは天井が閉じられて、壁が貼られて下地が作られていることだ。
1Fでは和室を急ピッチで作っているしリビングキッチンの床暖房はもう入ってフローリングが貼られた。

室内は工具だったり資材だったりで結構なカオス状態だけど、それでもこのリビングは広い

オーディオルームの壁と天井の下地ができている。1Fのリビングも天井は一般的な木造住宅としては高めなのだけどオーディオルームだけはずば抜けて高い。

タイムラプスカメラの様子を見ると、オーディオルームの施工が始まってからは週に2回以上は現場に訪れて現場の大工さんたちと綿密な話し合いを行っているようだ。幸いにしてこの家はF社からそう遠くはないのだけど、先日のF社の定休日には社長と現場ですれ違った。すぐにもう一軒の次の現場へ行くというのだから大忙しだ。

今週の初め、おそらく27回目の店頭での話し合いが行われた。
すっかり慣れてきたこの話し合いも背中のぐっきりを背負った状態ではなかなかの重労働だったけれど、その日話し合われるはずの車庫とアプローチの図面がまだ間に合っていないらしくオーディオルームの雑多な確認作業でスッキリと終わった。

formusicという小さなお店

F社では地方の小さなオーディオショップとしては珍しく家を建てている。いやオーディオショップとして家を作っているお店はおそらくF社だけかもしれない。
回を重ねる毎にその”異常さ”を感じる。社長の強い熱意と研ぎ澄まされた美的感覚そしてそれを実現させる現場の力。店頭に展示されている選りすぐりのオーディオ以上に”ハイエンド”なのだ。
毎回オーディオルームを施工している工務店とはもう30年の付き合いになるという。F社のあの美しい店舗を改装したのもその工務店が施工しているし、社長宅もまた同じである。

様々な要素が列なり合う家の建築は、全体を指揮する建築家の力量がそのまま家の外観だったり使いやすさにもろに反映される。
車庫から玄関からサッシ雨樋まで全てのバランスを整えるのはとても難しい。様々な要素が追加される注文住宅ならなおのこと”家のまとまり”はごっちゃごちゃになりやすい。そのためにトータルでのコーディネートが欠かせない。
良いオーディオルームを作る気でいた始めの家作りもいつの間にか、最高に美しい家作りへと変貌していった。そうオーディオルームだけが美しくても意味がないのだ。アプローチから廊下からリビングに至るまで美しく実用的でなければならない。

F社は毎年だいたい2件ほどの家を建てると言う。逆に言えば社長一人では2件が精一杯でそれ以上は作れないという。そして家とクライアントとじっくり向き合って予算内で最高の家を作ろうと言うのだ。
ホームページのWorksを見て貰うと何件かのオーディオルームの施工例を見ることができる。オーディオルームだけ1から作った例や家をリフォームしたパターンなど、その形態は様々であるけれど一つ言えるのはどの部屋もF社のカラーを出しつつもいつも違う物ができていると言うことだ。
違うというのは少し誤解が生まれるかも知れない、正しくは毎回部屋はアップデートされていっている。

進化を続けるF社のオーディオルーム

社長曰く、オーディオルームを作るときは毎回新しい挑戦を1つはやってみるという。全く同じ部屋は作りたくないというのだ。
確かに、コンビニやスターバックスコーヒーのような全く同じない内装で全く同じ灯具を取り付けて作ればもっと簡単に多くの部屋が作れる。
しかし社長はそういうことをしない。毎回どこかに新しいアイディアを入れ込むという。新しいことをやるというのはある意味リスクでもある。だから、もしうまくいかなかったら自費を出してもやり直す覚悟で挑戦するという。そうして、どの部屋でやっても失敗したことはなくうまくいき、部屋を作る毎にF社のオーディオルームは常に新しい物へと進化し続けている。

毎回同じ仕事言うというのもつまらないし発展がない。その点毎回新しいことをやると言うこと自体とても素晴らしいアイディアである。
人間は大きな変化を嫌う傾向にあるけれど、全く変化しないのもまた退屈でつまらない物になる。
最高の物をクライアントに届けたいという強い熱意とパワーはそういったちょっとした工夫の積み重ねから生み出されているのかも知れない。
これまでの施工例を見せて貰いながら話を伺うとどれもドラマティックで興味深い話ばかりだ。施工例にさらっと書かれている文章と写真からいろいろと想像を膨らませて欲しい。

うちのオーディオルーム


Youtube動画と並列した内容の記事です。是非動画を見て高評価を押していってね!

D35以下での防音性能で十分なので、広い空間を作ってエアボリュームによって低コストで部屋を作って欲しいとお願いした。
しかし作られていく部屋はまさしくオーディオルームのそれで、もうすでに結構な防音性能ができいっているのが分かる。
梁は通常の木造住宅の倍くらいあるし天高はできるだけ高くはして貰ったけれど、建築基準ギリギリまで部屋の容量を上げた。窓ガラスは当初アルミと樹脂のハイブリッドサッシを使う予定がYKKの上位モデルに変えられ機密性はさらに上がった。
もともと外断熱なのでグラスウールの今住んでいる家よりも遙かに機密性つまりは遮音製が高いのだけど、梁と柱を繋ぐジョイントやサッシのわずかな隙間、ケーブル配線のちょっとし穴も全てパテで埋めている。
家の内側に音が広がらないように屋根裏はアパートみたいにオーディオルームだけ閉じられているし、隣の部屋との壁は空気層を2層挟んでの石膏ボード3枚張りだ。

どれも手間はとてもかかっているのだけど、素材そのものは普通のグレードのものを使っていると言う。良い物を使うよりも使いやすいモノを効率よくうまく使うことがオーディオルームのコスト削減といい音に繋がるのだという。
だからうちは一般的なハウスメーカーが作る家よりも低コストで遙かに良い音が得られている。

専用オーディオルームの優位性

オーディオ専用ルームというのは本当に特別で特殊な部屋である。
ハイエンドオーディオをやっているとどうしても部屋という壁にぶち当たる。部屋の容積もさることながら、その床の強度であったり壁の素材や天井の構造などどうにもできないところが多い。
ハイエンダーと呼ばれる人の多くが部屋に行き着くのはもはや必然なのだけど、やはり専門の部屋を作るというのはお金もそうだけどこうして1年近くかけて設計や施工を行ってと大変に手間がかかる。お金と余裕と強い熱意がなければ良い部屋は作れないしハイエンドオーディオの扉は開かれない。

オーディオマニアの多くは壁コンセントだったり床の強度についてはよく言及しているところを見るけれど、天井裏だったり壁の中だったりを気にしているマニアはそうそういない。
F社では床下壁天井などオリジナルのオーディオ手法を持っていてそれぞれの部屋にあわせて施工が行われる。実際どの部屋にどんな施工がされたのかは知るよしもないのだけど、うちの建設現場を見ると面白いことばかりで話したい気持ちでいっぱいだ。しかしそれはF社の先代の頃から研究され伝えられてきた大切なノウハウであり表に出ることはまずないだろう。

そういう普通ではまず手出しできないしそもそも知るよしもないようなところからオーディオ用に設計できることがまさしくオーディオルームの優位性であり特殊性でもある。
究極の贅沢でありロマンの塊それがオーディオ専用リスニングルームなのだ。