1月の新製品発表会で存分に聴くことが出来なかった802D3を
ちょっと寄ったついでに数曲聴かせて頂いた。

■使用機材スピーカー:B&W 802D3
パワーアンプ:ESOTERIC Grandioso M1 mono
プリアンプ:ESOTERIC Grandioso C1
DAC:CH Precision C1
トランスポート:CH Precision D1

■試聴曲
魂リク/福山雅治 から Midnight Blue Train
TARITARI から 心の旋律
娘コラ から REMEMBER 16 、 アイモ~鳥のひと
My Soul,Your Beats!/Lia からMy Soul,Your Beats!

公式の写真では異物感がぬぐえない独特のシルエットを成す800シリーズであるが
802D2に慣れ親しんだ目で外観を見ると、D2よりもおとなしく引き締まって見える。
実は部屋への収まりは良いのでは無いかなと思う。

 

800シリーズの見た目での意見はかなりばっさりと分かれるところだけれど、
個人的にはハイエンドオーディオにはこのくらいの主張があった方がおもしろいと思っている。
リビングオーディオで部屋の真ん中へ置いているならなおさらだ。
個性的な存在感有るシルエットが所有欲をかき立てるだけでなく部屋の雰囲気そのものをガラリと変えてしまうのだ。

感覚はややずれているのだけど、一般家庭用であるならば、現在のスピーカーにおいてはマジコのQ1クラスで十分だと感じる。
それでも400万、値上げ前280万円だけれど、Q1ではB&Wのような物量感は得られないし
なにより、Q1はデザインにぞっとするものがない。
それが802D3、803D3では300万円前後で手に入るのだからB&Wの人気はまだ安定だと思う。
確かに前シリーズと比べると凄まじい値上げが成されているのだけど、まだ何とかなる範囲だと感じる。

欠点を探すかのように聴いていたのだけど、上記の曲を聴く限り欠点らしき欠点が見つからない。
D2シリーズで気になっていた部分をすべて補修するだけではなく、すべてにおいてそのまた上の高い次元へと進化しているのが分かる。
802D3は2回目の視聴となる今回。F社のA試聴室の特性もわかり始めた頃、B&Wの底力を見せつけられたようだ。

これは本当に完璧なるまでの進化だと感じる。現在理系スピーカーメーカーは最新技術、最新素材を駆使して激しい競争がなされ日夜モデルチェンジが繰り返されているが、
そのモデルチェンジがそのメーカーのユーザー全員を満足させることは稀で、
モデルチェンジが作ってしまう従来のユーザーとの距離感は様々なメーカーで感じる。

しかし、今回のD2からD3への進化は本当にすべてが理想であると言ってしまいたい程の劇的な進化がなされた。
D2ユーザーならずとも、古くからのB&Wユーザーが10中10人D3がB&Wらしい音でありハイエンドの音であると答えそうな進化なのだ。好みの音でないからD3シリーズよりもD2が良いなんてことは言える進化ではない。

B&Wには鬼才ローレンスディッキーが生み出したオリジナルノーチラスというとんでもないスピーカーが存在し、同社はその音を目指して普及品の製造をしているようである。
800シリーズを煮詰めていくと終着地点はオリジナルノーチラスなのだけど、現実的にはVIVIDAUDIOに辿り着くと思う。すべてのユニットに消音器を備え付けたGIYAシリーズがそうである。
しかしながらこのGIYAシリーズは一つの理想型であるのだけど、オーディオファイルないしは、B&Wユーザー、皆が皆満足するかと言うとそうでは無いようで
振動板のアルミくささ、見た目がソフトクリーム…などは置いておいて、GIYAの壁を越えてしまったハイエンドすぎる音に拒絶反応が出てくるようなのである。

個人的な予測ではあるが、最終的には VIVIDAUDIOとB&Wは同じ音になるものだと802D2を使っていて思っていたのだけど、D3を聴く限りそうでは無いようである。
と言うのも、D3とGIYAでは音の方向性がやや違っていると感じた。
GIYAではスタジオの音をエンジニアの意図をそのまま完璧に再現しているのに対して
D3は何となく音が作ってあるような感覚で耳なじみが良いのである。
高いSN感の中に微かにB&Wの音を感じられるのである。スピーカーとしての性能を上げつつも表現力についても高いレベルで進化したようである。
以前だったらこれがケブラー臭い音と評され、忌み嫌われていただろう音は今回のD3では見事に昇華されている。

そのVIVIDAUDIOとの従来のB&Wとの違いが、D3の馴染みやすさ、聴きやすさをさらなる高みへと導いているようである。
思うに、日本のオーディオ事情であるなら、D3シリーズでオーディオが上がれる人が大半だと思う。

何より思うのは、スピーカーはまだ進化の余地があると感じさせられた事だ。
D2からの進化、GIYAとの差別化。開封、設置、セッティング等のやりやすさなど大手メーカーらしくどこにでもかゆいところに手が届いている。
はっきり言って、横に置いてあったSASHAⅡなど目にない。

???「お、1ペアお買い上げですね~っ!」
オーディオやるなら、802D3これは欲しい、鳴らしてみたい。そう思わされてしまった。

しかも今回まだエージングが済んでいないし、アンプもアクセサリーも練る余地がある。

なんにしても改めて自分がB&Wの音が好きなんだなと思えた試聴であった。

D4が出たらウーハーの筐体がルーメンホワイトのように後ろにかなり伸びるような気がする。
今回、曲別に詳細レビューを書かなかったのは是非とも愛聴盤をもってオーディオショップへと行き偏見なしに実際にD3を体験して欲しいからだ。

久々にD1での試聴を行ったけれど、相変わらず操作がおもしろい。
リモコンの効きは相変わらず最悪だなと思ったら電池切れてた。
この試聴室で聴くたびにCHよりもGrandiosoになぜか惹かれるのであった。

ステサンNo197は永久保存版でしょう。

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