急激に寒くなり、また去年以上に世界情勢も不安定になっています。そんな中、とある8月の日、この家に引っ越してから最も耳の調子が良い日がありました。それはおそらく、引っ越すより前、スピーカーを買い換えてから9年ぶりのことかもしれません。今年は4月から隣の家が建て替えられ、騒音に悩まされる日々が続いています。しかし、体調が良い日にはそれさえも気にならなくなります。そんな日にオーディオで音楽を聴くと、オーディオ趣味が思っていたよりも感動的だと改めて感じます。そうしているとずっと海の底で眠っていた、創作意欲が湧き上がり、YoutubeのShortsでオーディオの動画をちまちまと作り始めました。しかし、オーディオ関連のコンテンツをネットに上げると一部の視聴者からの嫌みやマウントのようなコメントが来ます。彼らは私の動画に嫌味を言いさらに気分が悪くなり私もまたガッカリするのでした。

 

 

マウントを取る人々は、自己肯定感が低く、神経質で完璧主義で、他人と自分を比較することで自己位置を確認します。そして、自分が負けていると感じると不安になってすぐにマウントを取ります。しかし、オーディオ趣味というフィールドでの勝負で得られるものや失うものは何でしょうか?趣味であるオーディオに勝ち負けを持ち込むこと自体がもったいないです。私たちは自由な人生の中で、好きだと思えるものが1つでもあればもうすでに十分に勝っていると思います。オーディオは試合でもコンテストでもなく、ただただ自分一人で楽しむ究極自己満足の世界です。必要もない勝負でマウントを取ることは、「私は惨めです」と宣言しているようなものです。マウントがさらに悪化すると、嫌みや悪口が出てきて、必要のない言い争いすらも起きます。そして、オーディオ趣味を始めた当初の目的、楽しむために趣味をしていることを完全に失うのです。このサイクルから抜け出すことはできるのでしょうか?

 オーディオの目的の大部分は、楽しく音楽を聴き人生を豊かにすることであるはずです。他人より優れていなければならないという思い込みは、そのシンプルな目的を見失わせます。まずは自己肯定感を高めることが大切です。自分のライブラリやシステムが不十分であったとしても、それで良いと自分に言い聞かせることです。そのために、他人と比較することを止めることです。具体的には、SNSを見る時間を減らし、自分の時間を確保することです。私自身、最近はXやSNSを極力見ないようにし、ブログを書く時間やYoutubeの動画を作る時間を増やしています。体調や感情を整えるためにも、日々の生活習慣の改善が大切です。例えば、本を読む時間を設けたり、寝る前にヨガをしたり、スマホの電源を完全に切って寝るなどの工夫があります。自由な時間には自分の好きなことやるべき事に集中するべきです。

 負の感情から生まれるエネルギーは大変に大きいです。そんなマウントするエネルギーは、自分のために、好きな人のために使うべきです。それでも時折、劣等感を感じたりマウントを取りたくなることはありますが、それは人間である以上仕方ありません。完璧な人間はいません、故に劣等感も完全に消すことはできません。そんな不完全な自分自身を肯定し、オーディオのセッティングを煮詰めていくように少しずつ改善していきましょう、他人と比べず自分のペースで。そうしているだけで、その間も素晴らしい出会いが待っていると思います。音楽を聴くことは心の栄養補給であり、非常にポジティブな行為です。気分が悪くなりたくて音楽を聴いている人はそうそういないはずです。それが”マウント”によって苦痛に変わってしまうことは避けたいです。

人間の不完全さ、それが私たちを美しい音楽や素晴らしいオーディオ機器に引き寄せると思います。その純粋な感動、それこそが大切にすべきものだと思います。満腹時には美味しい料理を求めないように、欲求は飢えから生まれるのです。人間が美しくも素晴らしくもないからこそ、より良いものへの憧れと絶望が生まれます。それこそが、人間らしさの証だと思うのです。だからこそ、私たちはオーディオを聴きながら、御託を並べ、スマホを眺め、また後悔する。それが人間だから。