予告していました、pagode 9月編(後編)です。
二つ前の記事がpagode 8月編(前編)になります。
前編:【定価60万】高級オーディオラック finite elemente パゴデ”Signature” 導入。オーディオ機器を昇華させるチートアイテム
これまでで2番目に大変なオーディオ作業でした。
軽い気持ちでオーディオラック弄ろうなんてもう思いません。
続きから、セッティングの記録。
最後の方にpagode SignatureラックとMasterReferenceラックの比較です。
■Part1 準備
9月7日(金)の午前中
8月14日に導入したpagode Signatureの撤収作業をしました。
ラックが大きく開口しているため機材の出し入れはクアドラより楽とはいえど
Rossini、C800f、isotekと引きづり出して行くと、
一個目のRossiniを出したところでほぼ息が上がっていて
C800fを出そうとしたところでバランスを崩しかけました。
絶体にラックへダメージを入れてはいけないととっさに体制を立て直しますがそこで両膝に強い負荷がかかりました。
オーディオスクワット。非常に危なく繊細な作業 |
上記の画像は去年の1月の画像ですが
ラックの下から2番目または中段あたりの微妙な高さから
重たいオーディオ機器を引きずり出すのは非常に危険で大変な作業です。
まだC800fは20kgもなくギリギリセーフ(ほぼアウト)でしたが、
ESOTERICのトラポみたいに30kgだったら間違いなく自分では引き出せません。
これ絶体無理ゲーですよ。F社のIさん曰く、
「仕事だからね、ただもう10年もしたらおそら出来なくなるだろうね。」
「もう重たいもの売らない!(キッパリ)FMとかキソアコとか軽いのだけ」
とのこと。
このラックの引き出し作業ですが、コツと言うよりは
とにかく意を決することになるのかなと思います。
腰か脚か、はたまたラックか本体かどれかは犠牲になってしまう覚悟で。
やっとの事で、機材を出してからラック本体の移動ですが、
幸い、pagode Signatureラック 実はそんなに重くありません。
なぜかpagodeはアクシスのHPにも本家のHPにも重量が明記されていません。
移動や床のことを考えるとオーディオ機器はきっちり重量表示しておくべきだと思いました。
インシュレーターやスパイク受けの選択にも必要な情報です。
もうこの時点で出せる力もなく集中力も切れてしまっていますが、
一つ重要な作業をしなければなりません。スパイク受け剥がしです。
この湿度が高い時期は、スパイク受けがガッチリと床へ強力にくっついているため
エアジャッキで軽くラックを浮かせてカッターでスパイク受けを剥がします。
念のため使い古した白手袋をスパイク受けの下に敷きました。
その状態でゆっくりと手前へ引くと…ガリガリと嫌な音がします。
思いっきりスパイクが床に刺さり削られていました。
そうまた床に大きな傷が増えました。
pagodeよ、どこまでこの家に傷跡を残そうというのだ。
しかし、辛すぎて床の傷とかもうどうでもいいです。
とにかく今は玄関へ安全にラックを移動させることです。
横と後ろに十分な空間ができたところで長座布団と養生マットを敷いて
pagodeをゆっくりと横倒しにし、スパイクをすべて取り外しました。
よく考えたらその場で手前へ倒してそこでスパイクを外すべきでした。
スパイクをとってしまえばほぼ安全、弾薬の信管を抜いたも同じです。
養生マットを下に引いてゆっくりと廊下を引きずって玄関へ…
1日だけラックのない状態になり音が出せないと困るので小さなシステムを作りました。
ヘッドホンアンプは普段ほぼ使いませんが、こんな時はDACプリが非常に役に立ちます。
何度か売ろうかと思っていましたが今後も修理や買換などで
一時的にDACやプリが不在となる場面は考えられるため補欠として倉庫に保管してあります。
しかしながら、ラックが部屋に存在しないだけで、部屋全体が非常にすっきりとして見えます。
反対に、主人公不在の演劇を見ているような気分にさえなります。
この部屋の真の主役はGIYAであることは言うまでもないのですけど
ラックというのは結構目に付くものだと実感しました。
変えのラックがくるのは明日なので一時的にストレッチフィルムを巻いて借り置き。
世の中には一台で1千万を超えるようなオーディオ機器がゴロゴロしてはいますが、
ここに500万近い筺(ハコ)がポンと置いてあると思うとなんだかいろいろ考え深いです。
午前中で一日分のエネルギーをほぼすべて使い果たして1日目が終わりました。
■Part2 搬入
2人がかりの手早い作業にまた棚板を持たないように注意するのを忘れてしまい
今回も一番上の棚板をガッツリ持たれてしまいました。
部屋まで運んで貰って少しの会話をする隙もなくささっと帰って行きました。
ヤマト、仕事が早すぎる…
MasterReferenceラックはSignatureラックと違い
棚板がスパイクで置いてあるだけなのでマスキングテープで棚板が固定されていました。
アクシスのHPで見た感じの構図。
棚板を取るとフレームにレゾネーターが刺さっていて
これは間違いなくあのpagode Master Referenceラックです。
公式HPにも重量が記載されていないことから
かなりビビリながら動かしてみますが案外何とかなる重量でした。
体感としては棚板を取ってフレームだけにしてしまえば40kgもない感じでした。
そうそう今回のpagodeは、セラベース付きです。
もうすでに装着されていますがアクシスの説明書がいまいちよく分かりません。
元々の英語説明書もなんだか不親切な情報量です。
とりあえず、すこしがたついていたので高さを微調整してあげて一応のセッティングは完了としました。
ただでさえよくわからないセラベースを結構きつい体勢で高さ調整を行います。
前日に、膝をやってしまっていて屈むのも一苦労でヒーヒー言いながらもう白旗状態です。
セラベースの説明を見ると最大10mmの高さ調整が出来るとのことですが
ラックの隙間に手を入れてドライバーみたいな工具をセラベースの周りをグルグル回すのは結構骨が折れます。
SignatureからMasterReferenceを見る比べると支柱が倍になり
見た目からは一本松から縄文杉になったかのように非常にガッチリとむっちりとした印象に変わります。
見ての通り、サイドカバーがつけられておりフラグシップラックのAPSのようですが
古いMasterReferenceです。
ついでにpagodeのこの鉄骨部分は非常に精密に作ってあるのか完璧な直角を実現しているようで
角が非常に鋭くうっかり脚なんかをぶつけてしまうと流血しそうです。
その点サイドカバーがあると少し安心です。音質的にも叩いた感じでも鳴きが減るかなと思います。
小さい子供なんかがいる家庭では色々と考慮してpagodeはやめておいた方が無難かなと思いました。
さて、昨日精一杯の力を出して抜きだしたオーディオ達ですが
今度は昨日の負傷を抱えたまま元に戻さなければなりません。
C800f→AQUARIUS→Rossiniの順で入れました。
最難関と思われるC800fを最初に入れてやる作戦です。
上下の隙間が少なくC800fの奥行きが以外にあり
水平に保ちながら奥に入れるのは至難です。
Rossiniまで来たところでもう限界の文字が見えてくるも
レポートのために写真を一枚撮るくらいの余裕がありました。
一度ラックの前へ置いて体制を整えて一気にラックへ押し込む作戦です。
pagodeの最上段は支柱を支える横木がありRossiniの左上を軽く接触させてしまいました。
上段は空間が広く撮られているようで支柱が2本になった影響で思っていた以上に空間が狭かったのです。
今、油断して少しでも力を抜いたら、脚からがらがらと崩れ落ちそうになりながら
ラックの交換が終わりました。
こうしてみるとSignatureラックが細身で弱々しく見えてしまいます。
実際問題、SignatureとMasterReferenceでは棚板の大きさが横奥行きが5cm程度違います。
フレームも2センチほど分厚くどっしりしています。
SignatureラックのうえにMasterReferenceの棚板の内側を乗せてみましたが
本当に一回り大きいのです。
今回もまたいつものように、音楽を聴く余裕もないくらいに疲れ果てて
オーディオをやる喜びとはなんなのか嫌になるほど考えながら翌比を迎えるのでした。
■Part3 引取
9月10日(日) 午前中
さて、8月お盆にうっかり買ってしまったSignatureラックですが
3日目の日曜日、3回目のヤマトらくらく家財便で次のオーナーへと旅立っていきました。
3度目の正直。今度こそ梱包している間にちゃんと説明して
棚板に負荷をかけないようにしていただきました。
これ梱包して大丈夫?と不安げなヤマトのスタッフさんに
いやこのラック、らくらく家財便で送られてきたので全く問題ありませんと伝えると
ドライバーさんも声を出して笑っていました。
3日目はらくらく家財便でヤマトの人がほぼすべてやってくれたため
午前中の引きあげ作業が終わると、一連のラック騒ぎが終わったと一息胸をなで下ろすのでした。
■搬入のまとめ
”うっかり”導入してしまった、pagodeのSignatureラックですが、
どういう風の吹き回しか、8月の14日に導入してその3週間後の9月8日にMaster Referenceに交換しました。
高級オーディオでこんなにも早く入れ替えをしたのは初めてで自分でも驚きです。
ラックの入れ替えから3日は床から椅子から立ち上がるのが大変でした。
少し心配していた、らくらく家財便でのオーディオの運搬でしたが
何の制約もなく普通に事が運びました。
ただ3回ともにトラックもドライバーも違っていたのがすこし謎。
■音質レビュー
導入から1週間。少し落ち着いてようやくリスニングです。
フィニッテエレメンテのラックをこんな短期間で入れ替えたバカ者はそうそういないと思うので出来るだけ書き残しておこうと思います。
MasterReferenceラックは演出するタイプではなく陰に徹して穏やかです。
高いSN感、暗闇の演出に一役買っている感じがします。
決して主人公のようにはならない様子ですが、引き立て役としての演出能力は非常に高いようで
Rossiniがようやく本腰を入れて仕事をし出したそう感じるようになりました。
セレブやスターを支える優秀なマネージャーのようです。
SignatureとMasterReferenceラックの大きな違いその要因の一つとして、
セラベースが大きく関与しているのではないかと考えられます。
最終的に床に接することになる最も重要な接点をセラベースが担うことに大きな意味を感じます。
Signatureラックの方が見た目に反してやや華やかさがあり、すこし音は甘くなります。
例えるならSignatureラックはゆりかごで、MasterReferenceラックは家そのものです。
オーディオ機器を安心して住まわすことができる家です。
MasterReferenceの大きさ的な余裕は思いのほか音にしっかりと反映されるようで倍近い価格差にもある程度納得できます。
推測でしかありませんが、このフィニッテエレメンテのラックはセラベースありきで
設計がなされているように思います。
スパイク脚が付属していますがセラベース込みでpagodeといった方が良さそうです。
フィニッテのラックはとにかく値段が強烈すぎるために躊躇しがちですが
機会があれば、一度検討してみるのも悪くはないと思います。
ただ、棚板の自由度が低いために機材が確定している状態でないと
後々面倒ごとになりそうです。
そう考えると、pagodeの導入は最終手段となるのかも知れません。
加えて、体感Q4Dの1.5倍は空間を占領します。
■後日談
F社のIさんもGIYAのヴァージョンアップに訪問の際に
Rossiniを確認しようと目線をラックへ移動させた瞬間…声を荒げて驚いていました。
「さーて、でーしえす見よ!はぁああアン!」
「ん゛んん゛↑?!ラック変わってんじゃん、フィニッテのたっけー…んんn?たっけーやつじゃんか!!。しかも脚セラベース、横に置いてある箱あれフィニッテのセラベースが入ってるハコォオ!。全部分かりますよ!!」
「カッコいいけどpagodeは所有欲が7,8割をしめてるからね。ほんと高いじゃん。性能ももちろんあるけどさ。うちのお客さんでもpagode持っているお客さん数えるほどしか居ないよ!!??相当後回しにされるのがフィニッテ。ADKとかクアドラで良いでしょ。ただフィニッテのラックCDラックにしている人がいんですけどどう思います。ねぇ?
ただ、こんなに所有欲を満たすラックはないよねぇ~。」
F社の中古在庫に古いpagodeが3台ありますが、15~17年程度前のものらしく
それでも、購入当時の形を保っていてこんなに丈夫なラックもそうそうないよねとのこと。
Iさん「うまいこと作ったよな~(しみじみ)」
ついでに、店頭にあるそのラック、古いモデルで今では販売されていないオプションの棚板が使われていてスパイクとレゾネーターの代わりに特殊な紐が亀甲縛りのように使われており
棚板一枚あたりの価格は紐オプションで35万円だということです。
35万あったら、ADKラック新品で3台買えるじゃんと声をあららげるIさん。
棚板一枚でだよ?オーディオボードでも35万の製品ってある????さらに語彙を強める。
あまりpagodeはすすめないという。
……
GIYAよりもpagodeで盛り上がった日。
ざっくりまとめると、フィニッテのラックは非常に贅沢なラックです。
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