音楽がないと寝られない。どうもみかさです。
先月、寝室オーディオシステムについて書きましたが、実は1年以上もずっと寝室システムのアンプの買い換えを考えていました。

トライゴン SNOWWHITE 寝室オーディオシステムの罠

2014年から4年ほどトライゴンのアンプにお世話になりつつ、適当なプレイヤーやらパワーアンプを見繕ってはスピーカーを何度か入れ換えてようやく3rdシステムの方向性が見えてきて、ようやくの買い換え&買い増しです。
あるときはデビアレを検討したりトライゴンのまま適当に行くかと思ったり…

結局AudioAlchemyのセットで行くことにしました。
AudioAlchemyは90年頃にコンパクトで手ごろな価格のデジタルアンプがオーディオマニアに高く評価されたメーカーです。現行モデルは当時のサイズ感やプライスと踏襲しつつ現代風にアップグレードされて、メーカーそのものが復刻されたイメージです。
AudioAlchemyの最大特徴と言えば、コンパクト、設計がピーターマドニックと言う点にあります。
ピーターマドニックといえば、あのConstellationAudioの設計に携わっていますが、AudioAlchemyの製品群にもコンステのカラーが色濃く反映されています。
いつの日かメインシステムのプリアンプにコンステのVIRGOⅡを入れようなんてずっとやっていましたがどうにも環境が合わずに断念していました。
AudioAlchemyのアンプを揃えることは、あのConstellationAudioのプリアンプリベンジでもあります。

そんなわけで、続きよりセッティングと音質レビュー


AudioAlchemy 段ボール 箱 AudioAlchemy製品は大きさや重さ関係なく全てこの段ボールに入っています。
よく精密機器の運送用段ボールで採用されているトランポリンのようなカバーで上下をサンドイッチされた簡素な梱包です。

電源ケーブルもまた、全製品共通で普及品が付属されています。これは別途少し良い奴に変えてやる必要がありそうです。このあたりは完全に割り切って設計されている感じがします。

AudioAlchemy DPA-1

AudioAlchemy ステレオパワーアンプ「DPA-1」です。
パワーアンプはモノラルも用意されていますがあまりオススメはしません。理由は下の方で。
左右対称のデザイン、酸化アルミニウムの筐体がちょっとマシュマロみたいで可愛らしいです。

AudioAlchemy DPA-1

ゼファン取扱のDPA1です。
配置を見た感じ、右側に電源があるようで、入出力は左側に集約されています。

XLR、RCAでの入力が出来ますが、説明書にはバランスでの入力を推奨しています。RCAはおまけのようです。
またスピーカーターミナルが詰まっているためごっついスピーカーケーブルはちょっと難しいかも知れません。この小さいアンプにそんな極太ケーブル使う人がいるのか疑問ですが。

オーディオアルケミー DPA1

中央の大きなボタンが電源ボタンです。
すこし硬めで小さく押しづらい形状です。また白色のLEDが結構まぶしいです。
小さいボタンは、左の二つがXLRとRCAの切り替え
右の二つがGAINとMUTEボタン。中でもミュートボタンが非常に重要です。
両端の二つのLEDはピークインジケーターで過大出力が入ると赤く点灯します。

ここまでのお話が、2016年の9月のことです。
それから2年後…

寝室システムここにオーディオアルケミーのプリアンプをいれて大幅な模様替えをします。
 去年、メインシステムにフィニッテエレメンテのパゴデを導入したために寝室へ左遷されたクアドラQ4Dを解体していきます。
何度も強く締め直したりしてたためか猛烈に硬く板にクッキリと跡が残るほどにガッチリ締まっていました。

ISOTEK AQUARIUS

これまた今年ISOTEKのAQUARIUSをSIGMASへアップグレードしたことでAQUARIUSが3rdシステムへ移動。
AQUARIUSの効果はやはり非常に重要です。電源ケーブルよりこちらが先だと感じます。もちろん電源ケーブルも良い物を使うことに超したことはありません。
サウンドマジックバイブレーションキラーとBDRのショートコーンもセットで移植です。
Q4Dを組み立てながらだとバイブレーションキラーのセッティングが楽です。
ただ、ISOTEKの天板は20kgまでなのであまり強くテンションをかけると逆効果になりかねないので注意が必要です。

▽サウンドマジックのバイブレーションキラーの記事はこちらから▽
サウンドマジック バイブレーションキラー 「STB-1」 でアイソテックの箱鳴りを制御する

さて主役のDDP1とPS5です。店頭にあったのをそのまま拉致ってきたために元箱がありません。※あとで取りに行きます。オーディオアルケミー DPP1 PS5 プリアンプ

小型アンプだけにセッティングが非常に楽ちんです。
※この時点でもう息が上がっています。
PS-5はアンプのすぐ横につける形にデザインされていますが、その「 ) 」となっている角が非常に鋭利なのでゆっくり慎重に置かないとガリッと…

適当な電源ケーブルがないと告げるとさっと奥から適当な電源ケーブルを化してくれました。※後で返却します。
プリアンプとパワーアンプを繋げるXLRケーブルはLUXMANのJPC-100です。
手頃な価格設定と、取り回しの良さ、音も素直で使いやすいケーブルです。
こんかい電源ケーブルと併せて2カ所にLUXMANのケーブルを入れました。
なぜかシステムに一カ所でもLUXMAN製品を導入するとボーカルが簡単に整うのです。どんなシステムでも最低一カ所入れています。LUXMAN製品はどれも使いやすいですし。

パワーアンプをラックの上に乗せて完成です。
また、トランスポートとして懐かしのONKYO、ND-S1000を復活させました。
DDP-1はDACを搭載しているためPCやトラポがあれば小さなシステムが簡単に組めます。
全ての電源をISOTEKからとっている非常にSNの高い音が期待できます。
これまでサブシステムもメインシステムもプリアンプとパワーアンプを別々に置いていたのでこうして一カ所に オーディオを集めてスタックしたのは初めてかも知れません。

audioAlchemy ISOTEK

電源をぱちぱちとつけていくと、LEDがかなり強く輝きます。
これだけ揃っているのを見るのは2016年の試聴会ぶりのことですが、自宅の薄暗い部屋でつけるとあまりにもまぶしいです。
※後でパーマセルテープで埋めました。

■AudioAlchemyの音質

小さいデジタルアンプで聴いているとは思えないとても濃い音です。
この小さな筐体で、これだけ空間表現が巧みなアンプもそうそうないでしょう。
コンステのアンプによく見られる浮遊感のある音像に楽器やボーカルの説得力は、熟練されたアンプの設計がなせる技でしょう。
ただ濃いだけではないく、聴いていてとても心地よいアナログ物量アンプのようなイメージも見受けられます。
一つお気に入りのポイントが、小さい音からわりと大音量まで音のブレがなくとても均一です。このあたりはデジタルアンプの良さが前面に出ています。
DPA1では上流からの反応が非常に良く整えれば整えただけ答えてくれます。
小型アンプといっても120Wの出力があるのでこれでほとんどのスピーカーが十分にならせてしまいそうです。
”ミニコンステ”の愛称は大げさなではないようです。この絶妙な温度感の心地よい音はまさしく小さなConstellationAudioではないでしょうか?

■AudioAlchemyの評価

小型デジタルアンプと言う印象が強いAudioAlchemyですが、DPA1はAB級アンプです。小さいながらそれなりの発熱があり例えるならゲーミングPCの電源くらいには熱くなります。
またPDD-1についてもそれなりに熱くなります。

発熱くらい平気だという人の方が多そうですが、AudioAlchemyのアンプはピーターマドニック特有の扱いづらさが至る所に存在します。
その一つが、パワーアンプの電源ポップ音です。ユキム曰くDPA1は保護回路が入っていないために5台に3台の割合で電源を切る際に「ボムッ」というような大きなノイズが出ます。この個体は出るタイプでした。そのためにミュートボタンを押してから電源を切る必要があります。ミュートされていればほぼ無音です。
また、ピーターマドニック特有の癖として、流れてくる信号を本当にそのまま増幅するというこだわり?特徴があります。これは上流の信号をそのままスピーカーに伝える優秀な回路と言えば聞こえは良いのですが、すこでも上流に不備があると非常にうるさくノイズが出てきます。そのためプレイヤーやプリアンプは慎重に選ぶ必要があります。相性が悪い場合は聴くに堪えません。コンステのプリアンプもそうでした。
そのために、AudioAlchemyのアンプはプリとパワーセットでの導入を強く推奨します。トライゴンとDPA-1で聴いていたときはずっとDPA1を手放すことを考えて居ました。
DDP1とDPA1は切っても切れない縁のようです。できれば製造ロットも揃えたいところです。

また海外ハイエンド特有の扱いづらさもあります。
まずリモコンの音量調整がだるいです。±1ずつ上げていきたいところが2だったり3だったり飛ばし飛ばし音量が調整されます。結構イライラします。
また、DDP-1はフリーズしやすいです。突如リモコンが効かなくなったり、画面が真っ白になったり、電源ランプが点滅し続けたり…音量表示が狂ったり…そうなったらいちいち電源を切って再起動しなければなりません。
しかしこのフリーズ問題はユキムへ送って新しいファームウェアを導入したところキッパリとなくなりました。
ユキムの担当さん曰く個体別に二つのファームウェアを使い分けて対応しているとのこと。
音のために様々なこだわりと工夫がなされているこのAudioAlchemyのアンプですが、非常に癖が強いです。

DDP-1に関してはもう一つ、操作パネルとリモコンの安っぽさがあります。
美しくデザインされた筐体とは裏腹に、中央に円い窓が設けられていますがなぜか液晶は四角で上下左右が見切れています。これはデザインとしてどうなのか…とりあえず左側の切れている部分はリモコンの受信部になっておりまあ分からないでもないですが…
さらに、デジタルアンプなのに設定項目が少ない!初期音量やら液晶の明るさが設定できないのはちょっと使いづらさを感じます。

12万円する強化電源のPS-5についてですがこれは必須だと考えて良いでしょう。コンステのプリアンプやフォノイコライザーでも電源を隔離する手法をとっていますが、ピーターマドニックのこだわりのようでDDP1には付属でACアダプターが付いてきますがオーディオには似つかない感じの簡素なものです。
PS5は電源出力が二つ付いているので将来的にフォノイコライザーを導入したときにも使えます。
せっかく、ISOTEKで綺麗な電源を供給していますがここはケチらずにPS5を導入しました。

■AudioAlchemy総評

一言でいえばとても面白いアンプです。(かなりオブラートに包んだ。)
性格も、音も使い勝手も随所にコンステレーションオーディオを感じさせます。
ピーターマドニックのこだわりが小さなアンプに詰め込まれたそんなイメージです。音に関してだけはあの天才が作ったアンプだと胸を張っていえます。
 製品と言うよりは作品といったほうがこのメーカーのアンプにあうかも知れません。それだけ個性豊かですし音も音楽が好きなオーディオマニアにかなり受けそうな感じです。
あるとき代理店がゼファンからユキムへ移管されましたが、ゼファンのような超ハイエンドオーディオをメインで取り扱う代理店より割と手頃な代理店のほうが居心地がよさそうです。また購入元ともやり取りがしやすい方が安心だと思います。いろいろと不具合の対策をやらないといけないようなので…。

音に関してだけはマニアを誘惑するようなサウンドでこれからのAudioAlchemyの展開に期待です。

おわり

スピーカーの間にラックを入れたのは7年ぶりくらい。凄くオーディオっぽい見た目。ただ音場が狭い。

2018/10/22 TRIGON SNOW WHITE 250,000(税別) ▼55,000円
2016/09/29 AudioAlchemy DPA-1 380,000(税別) Y  269,600円 
2018/10/25 AudioAlchemy DDP-1 380,000(税別)&PS-5 120,000(税別)
F312000円