オーディオイベントがあった後には店頭に何かしらメーカーの貸出機や下取りした機材が置いてあるのだがそれを狙って5月某日F社へふらっと突撃してきた。あの朱鷺メッセですでにG1GIYAが中古で売り出されていることは知らされていたしG4GIYAもまた5月ステラゼファンの決算期と並んでメーカーデモの処分品が展示されF社の店内はオーディオ機器であふれていた。
実際店頭へ行くと、オーシャンウェイの巨大ホーンスピーカーやWILSONのYVETTE、ヴィオラのお化けアンプBRAVOJeffRolandのモノラルパワーアンプなど色とりどりの品々が陳列されている。中でも、A試聴室のG1GIYAとマジコのM3は一際異彩を放っていた。
なにも連絡せずに店をのぞきに行ったのだけどちょうどよく、AルームではG1GIYAが、BルームでG4GIYAがセッティングされ音が出ている。
G4を見に行くつもりで家を出たのだけど、試聴会では朱鷺メッセでG2GIYAS2をしっかりと試聴しF社店頭でG1とG4が試聴できる。そんなこんなで自宅のG3GIYAと合わせてVIVIDAUDIO祭が開催された。

G1を聴いてくれと言わんばかりに手前にどっしり置いてある

視聴ソフトは、いつかのマジコS1もといG3GIYA試聴会に使ったソフトを中心にいつもの感じで揃えた。

手始めにG1GIYAを聴くのだがそのまえにどうしてもいいたいことがある。

GIYAシリーズといえばこのくるんとした頭そしてぬるっとした図体。誰もが驚き一歩二歩後ずさりするというその見た目で話題になるのだが、実際問題G3GIYAは独特の曲線美や収まりの良さ、カラーと自分のセンスと馴染んで導入に至った。GIYAのデザインは悪いものではないし究極そのものであると思う。ただ、G1GIYAの実物を目の前にいくつか思ってしまったのである。まずその背丈、自分は身長は高い方なのだけどG1は見下ろすのが難しいくらいに背が高い。横にまわるとG2やG3では感じなかったヨットのような奥行きのでかさが、この真っ赤なボディーも相まってまるでバーバーパパが居るとしか思えない。真正面から見るとすくっと電柱柱のように謎の棒が立っていて、いつかのティダルのアゴリアを彷彿とさせる。ある意味美しい。同じAルームに置いてあるアヴァンギャルドのホーンスピーカとはまた違う圧迫感や違和感が目を脳を激しく刺激してくる。
VividAudioがGIYAシリーズの第一弾として出したスピーカーがG1GIYAであることは誰もが周知の事実ではあるが、
これはオーディオ関係者オーディオマニア一同にして、売れない、部屋に置けない起きたくないと思ったのは仕方ないかもしれない。
だからこそG2giyaやG3giyaといった素晴らしいスピーカーも生み出され、そのコンパクトさや音の良さが高く評価されたのだけど。このあたりの柔軟性がローレンスが天才といわれる由縁なのかも知れない。
ただ、見た目や大きさの問題なんてのは、GIYAの大本になったあのOriginalNautilusが、あったために分かっている人にはスマートでスタイリッシュに見えたかも知れない。そのくらい当時のGIYAという存在は革新的で衝撃的なスピーカーであったと思う。
いや衝撃であった。
G3GIYAで見慣れているはずのこの流線型に驚くことが本当に衝撃であった。熟知していたはずのGIYAの見た目でここまで前置きを書いてしまったのだから、VividAudioと言うメーカー、GIYAの見た目はやはり罪深い。本当にこの見た目についてしっかり書いておかないと落ち着いて音が聞けないから困ったものだ。

前置きが大変長くなってしまったが、G1GIYAの音を聴くとしよう。最近では一曲にかける曲は福山の魂リクと決めている。プレイヤーのCHPrecisionにそっとCDを入れて再生する。適正ボリュームを探しながらESOTERICのC1を慎重に操作する。パワーアンプはJeffRolandだ。

 

音質についてはよく分からないまま、ゆるゆりのCDをかける。
あのG3GIYAの試聴を思い出す。

2014.09.05 耳にビビッと、VIVID AUDIO G3 giya、HI-FIで萌えソングは聴けるの?

しかし様子が明らかにおかしい。ゾッとした。
4人が等身大で歌っている。いや歌っていると言うよりはもうそこに居る。今まで感じてきた等身大という言葉はどうやら口から頭良くてチェスト部分が感じられる程度だったようで、G1の世界はどんなスピーカーよりも空間表現が1段も2段も優れているようで、歌を聴いていると言うよりは劇を見ているようなそんな錯覚がおきた。このゆりゆららららゆりゆり大事件では、髪がファサっとなるような足下のローファーまでもが感じられる程度には等身大のごらく部4人が見える。いや見えるというのはややおかしい、そこに居る人に対して見えるというのは、表現的にすこし違う気がする。見えるか見えないかの世界ではなく間違いなく”いる”と思わせるほどに強い錯覚が起きている。

VIVIDAUDIOG1GIYA&CHPrecision&ESOTERIC&JEFFROLAND ゆりゆららららゆるゆり大事件聴いてみた 
https://youtu.be/uJvka-MTBeU

G1が奏でる音楽は、音ではなく音楽であるならばアーティストや歌い手そのものであるようだ。
G3でも感じた、スピーカーではない、オーディオ機器を脱したスタジオのマイク本体のようなそれは
G1にもなると、アーティスト自身に化けるようである。

続いていつもの如く低音ましましのノリノリのウィンフィルをかける。低域表現やスケール感のチェックをしようとしていた自分が間違いであることに気づかされる。このG1GIYAというスピーカー、見た目もさることながら”お化け”である。ことばにするならば、音楽隊が化けて出てくるそんなイメージだ。低域だけに絞って言うならば、地面をとどろかすような低音が出ていると言うよりは、ティンパニを力一杯フォルテシモで演奏している奏者や観客の響めきが一切のフィルターを通すことなくそのままの形で伝わってくる。
朱鷺メッセでホテルオークラで店頭で聴いたG2そしてG2S2、G3とは、音、いや音楽が違って見える。見た目もさることながら、G1は特別でG3やG2とは別物なのだ。

たった20分、G1にただ圧倒されたのだが折角なので試聴室BのG4GIYAを聴く。

サファイアのような綺麗な濃いブルーをしたそれは思ったよりも小さく、G1がお化けならG4は小柄で華奢な女性を思わせる。GIYA特有のすくっと立った姿が可愛くも愛らしい。G3G4GIYAは専用の台座がAC2によって販売されているが、F社の試聴室Bはスピーカー側がコンクリートで一段高くなっている。そのために試聴室Aではなく高さが出せるルームBに置かれている。わさわさとスピーカーが立ち並ぶ試聴室にはMAGICOS1mk2や805D3などといった定番人気スピーカーも陳列されているが、G4を見るとがっしりと筋肉質で大きく見えてくる。
G1を見た後では尚のことG4は可愛らしく小さく感じられるのだが、大きさや設計が親しいG3と比べても音のニュアンスは少し違う、それでもG4はGIYAの音でB&Wと比べると毛色が違うことが分かる。値段的には803D3あたりと競合しそうなところではあるが、これははっきりとGIYAの父系で間違いないと言える。
G1と同じ曲を淡々とかけていくが、G4ではスピーカーで鳴っている。オーディオ的なニュアンスが強く得意の音像展開は部屋が小さいこともあり。箱庭的な鳴り方で圧倒的な音ではないが肩の力を抜いて聴けた。

VIVID AUDIO G4 Giya&ESOTERIC&OCTAVE ゆりゆららららゆるゆり大事件聴いてみた 
https://youtu.be/Q3b-9SdLUY4

G4やG3についてもっとも気にするべきはその能率なのだが、G1やG2の半分以下になってしまった容積によって能率が低めだ。G1で91dBあった能率はG4では86dBしかない。今回はこの鳴らしづらいスピーカーをオクターブのプリメインで鳴らした。加えてウーハーやミッドのコーン面積も小さく、設計は困難を極めたと思われる。 うちのG3がうまくなっているのか分からないが、GIYAは基本ダイナミックで鮮烈な音というイメージがあるのだけど、G4ではかなり静かで派手さがあまりなく、才能を感じさせない。
しかしG4のコンパクトさは6畳くらいなら寝室でも置けそうである。また軽いので、階段や狭いエレベーターにも搬入は余裕そうだ。G1の運搬は4人以上必要で階段の通り抜けもかなり大変になるらしい。また部屋も、天井高5m20畳は欲しくなるところではある。

ここにG3GIYAがあった日のことが懐かしく、今日G4が聴けたことに運命的な意義を感じる。なぜかといえば、いまのG3は上の試聴室、その場所で聴いて買ったスピーカーであり、現在のセッティングであのとき聴いたG3GIYAを超えられていないと感じるのだ。CHPrecisionのせいかもしれないし部屋の影響もあると思うけれど、なんであっても、G3giyaの性能はまだ出し切れていないように感じている。
今日聴いた、G1を超えることはおそらく無理であることは明白であるけれど、G3でどこまでやれるかチャレンジするのも悪くないしオーディオ的にはそちらの方が面白みがあると思う。

 

■おまけ
試聴室Aでいつも使用しているCHの元オーナーが判明したり、VivaldiセットをF社に売った人はselectDACを買ったとか。上の写真奥に見えるBRAVOはⅡに買い換えたものだったり、その両脇にいるM3はエレクトリからの処分品で展示販売可能とのことだったり…誰が買うんだ……
ちょっと気になっているコンステのpreamp1.0はステサンの撮影のために貸し出されたようでパワーアンプのSTEREO1.0だけが店の棚に置いてあった。プリアンプと言えば…その上を見るとエアのプリアンプKXR Twenty。定価430万円(税抜)こいつも中古で190万で提供できるという。その横にはMcIntoshのヘッドホンアンプ&プリメインアンプ

等々、F社の店頭はオーディオであふれかえっていた。

Iさん「G1 安くするんでどうすっか??」
みかさ「いやいいっす。でかすぎでしょ?床抜けちゃうよ?」
Iさん「床はホームセンター行ってジャッキ買ってきて俺が床下潜るんで」
Iさん「G4、寝室のシステムにどうですか?」
みかさ「あ~寝室は実は欲しいスピーカーがもうあって…(略」

■あとがき
30分程度ちょろんとG4を聴くつもりがIさんとの雑談も交えて2時間滞在してしまった。

実はこの一個前に大学病院の受診があって信じられないことに待合室で3時間待たされ
検査と会計も含めて結局4時間大学病院缶詰にされた。昼食も摂らないままその流れでF社へ遊びに行ったのだけど思った以上にへとへとになってしまった。
家に帰って泥に嵌まったように仮眠を取ってとりあえずの栄養を貪っていた。試聴会後のF社へ遊びに行った日。

おわり