来たる2015年 6月14日日曜日。G3 Giyaが我が家にやってきた。
6月も半ば雨が心配された日曜日の午後その変な形のスピーカーはぬるっと家へ滑り込むかのようにF社のスタッフ3人によって運び込まれた。

出会いは去年の夏。マジコを聴きに行ったついでに興味津々で聴かせて貰ったG3 giya。
大胆にもアニソンをガッツリとかけるとそれはあまりにも衝撃的な音を見せつけた。
店長と雑談しつつややうっとうしくG2 Giyaの中古出たら真っ先に連絡をしてほしいと懇願した。
もちろんそんな願いは叶わないのだが。VividAudioユーザーにとってG2 giyaは日本の受託事情にオーディオ的に完璧すぎて中古に出てくることはまずないからだ。

その数年前、F社に初めて行ったときのこと。
A試聴室にタイミング良くオーシャンブルーのG2 giyaが鎮座していた。
ネットでしか見たことが無かったその奇妙なスピーカーはこれまたとんでもない音を奏でていた。
初めて行ったオーディオショップでありもちろん持参したソフトでもリクエストでも無く
店長か社長かが選曲したであろうそれはおそらくヒラリーハーンのPlay Bachだったと思う。
バイオリンが静かに中に浮いているようなその姿はその後のオーディオ人生を大きく変えることになる。

スパイクが6本足のGiyaシリーズのために知らないうちにモデルチェンジされていたオールージュの一番安いカーボン製スパイク受けを4つ一組を事前に注文して。
CP-SBmark2になったそれは5千円値上げと1mmの嵩増しが成されていた。
詳しくは別の記事に書き留めておくと思う。

G3 Giyaの商談は3月に開かれたイベントにてG2 Giyaを聴いてジャンセンに心を引きつけられたところから始まった。
ハイエンドの世界を飽くまで堪能したその日から募り募っていたB&Wへの不満が爆発してしまい、買い換えを決意することとなった。
何より始めにジャンセンのコンデンサースピーカーを5月の連休明けに試聴し求めている物と違うことを確認した。
WilsonのSystem6や7も視野に入れつつ、オタイオーディオのSAHSAⅡのあまりにも安い展示処分品を検討し最終的にG3 Giyaの購入に至った。

 

G3と言えば某アフロにピアノブラックが195万円にて中古が存在したがスルーした。
安かったのだが状態に不安があり色に不満がありなによりF社にセッティングしていただきその後のも世話して貰いたかった。

それから何通ものメールのやり取りを経てVIVIDAUDIOの値上げが7月に決定され6月20日まで決算価格で提供できるとの話を聞き6月8日に無事、商談成立した。

802Diamondを導入した直後にこのようなメモ書きを残してたのでここに提示しておこうと思う。
結局B&W使用中にブログへあげられることも触れられることもないが
今思うと大変重要なメモ書きであると思える。

ローレンスディッキー

OriginalNautilusからG1giya
最終目標はG2giyaしかしこのスピーカーは部屋への追求が必要で現状では本体も手が届かないし
おけたとしてひどい音しか出せないだろうとう判断だ。横にウーハーがついている限り部屋が元も出ないととてもではないが壁から変な音がするはずである。あるとき2Ggiyaの中古が360万で出されしばし悩んでいる間に売約積みになった。まあ貯金の半分以上を使い切ることは現状を考えると非常にリスキーであり、正しい選択だったように思う。
しかし現在の上位800seriesにはNautilus802からオリジナルNautilusの技術が投入された。
つまり800seriesとはGiyaシリーズの親戚であるといえるであろう。
低音はともかく中低音のなめらかな音の出方はまさにNautilus譲りであると。
って最終目標はG2giyaではなくOriginalNautilusの方なんじゃない?
ああ、あれは高すぎるんだよ?中身というのか箱は樹脂ですよ?樹脂。ブランド料設計料高杉

今日気がついたのだけど、当時から自分はG2 Giya を視野に入れていて
ついでにその狙っていた中古いや展示処分のG2 giyaとはF社の真っ赤な奴で。
Iさん曰く、その中古を買った方は現在も大変満足して使っていられてとても良い音で鳴っているとか。
ついでに赤いG2giyaは日本に一台しかないとステラの人がやや驚きつつ言っていた。
展示処分品で360万と聞くと今なら間違いなく飛びついていたはずだ。
しかし当時は30万円のスピーカーからいきなり普通のリビングへ真っ赤なあのスピーカーを入れるような情熱も知識も野望もなかった。なにより自信が無かった。

しかしながら今日G3giyaを部屋に入れてみるとこれで限界かなと思えた。
お店での試聴では気づかなかったのだけれど、このスピーカーは大きさの割に凄まじい低音が出ている。
それも深いところまでもたつくこと無く。

G3の背丈もこのスタンダードカラーのモナークパープルも必要以上に部屋にマッチしている感じがした。
懸念していたアッコルドとの競合感も奥へ引っ込めてしまえばどうということもない。
ただ隣に並列させてしまうとどうしてもアッコルドの音が乗る。

予想では高音がきつく低音が操作不能でトリノフでも入れないと聞けた感じでは無いと思っていたのもつかの間。杞憂に終わる。
音については簡単なセッティングで前の802SDを軽く超えていた。
トリノフをあまりにもしつこく薦めてきたIさんもこれにはこちらからトリノフの話題を出すまで一切の推薦はしてこなかった。

なにより、低音の量は802より減るのかとてっきり思ったら逆なのだ。上にもあるとおり凄まじく低音が出ている。
またLUXMANとPASSの組み合わせでまともにドライブできるか不安であったが
事前の900コンビでの試聴以上のクォリティーが出せているようだった。

どうやら店頭での自分の耳は低音が聞き取りづらく気づきにくくなっているようだ。

ついでにセッティングが終わるとまず始めに
ノラジョーンズの一曲目をかけ上から順序よくユニットの音出し確認をした。

その後ソファーの後ろで3人のオーディオスタッフに見守られつつ
坂本真綾の「これから」をかけた。新時代の幕開けに相応しくハイレゾだ。
それから俺ガイル二期のED「Everyday World YUIver」をかける。
もともと試聴室でHallo Alone YUIverをかけて感動していたのだけれど
このVIVID AUDIOというメーカーの女性ボーカルはとんでもなく官能的なのである。
B&Wでは到底達成できなかった境地のように思える。

セッティングと確認のために一応Iさんのリファレンスらしい手嶌葵をかける。
何度か、角度や位置の微調整を終えるとさらに一段と音が整ってきた。
これにはあの3月に聴いたCHフルシステム4千万円のG2Giyaを彷彿とさせる。
もちろん部屋の限界や機材のレベルもあり真っ当に比べたら完敗であることは間違いのだけど。

802がいなくなった寂しさと心許なさを胸に何とも言えず落ち着かなかった。
それでも長年の夢がまた叶った瞬間であることには間違いはない。
802が好きすぎて眺めすぎて写真を撮り過ぎて掃除ししすぎて愛着がわき過ぎて802がいない部屋にただ呆然としていた。

その達成感と喪失感を何度も行き来しながらG3 Giyaの音を聞くと思うのだ。
こいつはスピーカーではない。と。802がスピーカーならこれはなんなのだろうか?

ソナスとはまた違った方向の楽器であり音楽であるのではないかそう思う。

一方でハイエンドオーディオ特有のオーバースペック感が気になった。
そうこのスピーカー、音に関しては完璧すぎるようであるのだ。
完璧すぎる故に近づきがたい凄まじいオーラを発しているのである。
アンプの力が足りないとか見た目がどぎついとかそれ以上にこのサウンドが持つヴィヴィッドな世界が意味の分からないフィールドへと脳を混乱させるのだ。
音を出した瞬間にレコーディングスタジオやライブ会場のマイクになったような観客であるような演奏している本人であるような不思議な感覚が脳を激しく刺激する。

これこそがメーカーの名前の通りの「Vivid Audio」である。

今度こそ同じスピーカーを10年使える気がする。

2015年6月14日 VIVID AUDIO G3 GIYA が 来た日。
終わり。

 

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